ムカシトンボ  (ムカシトンボ科)

2011年5月5日 うす曇 現地11:00~16:45

                     加茂地域では間違いなく繁殖していると信じていたムカシトンボでした。
                     ただ、生態が今ひとつ分からず、これまで1100mほどの山の上で飛んでいる姿しか見ることがありませんでした。
                     でも、Uさん、Hさんのご協力により、長年の想いが通じ、今日、ムカシトンボを観ることが出来ました。
                     子どものような目線で、カエルやトンボなどの生きものを見つめて来た僕にとって、子どもの日にふさわしい、うれしい、記念すべき
                     日になりました。
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                      ↑ 同行のHさんが発見し、最初に観ることの出来た個体①です。 ただ、頭が殻から抜け切っていません。
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                     ↑ 殻から頭を外して止まらせておいたら10分ほどで飛んで行きました。                      
                     羽化殻の一部が顔に張り付いていますが、何とか生き抜いてほしいものです。
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                     ↑ 羽化殻もありました。 
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                     ↑ 柳の下にドジョウ、二度あることは三度ある…との言葉を思い出し、近くを探しました。
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                     ↑ 羽化中の個体②です。生まれて初めて自分で発見したムカシトンボで、うれしかったです。
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                     ↑ ご案内いただいたお二人にも、じっくり観ていただきました。 うれしいひと時でした。
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                     ↑ ムカシトンボを観ることの出来た付近の渓流です。 もっと源流域を見ていたこれまでの自分でした。
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                      ↑ 羽化殻のない個体③④も発見できました。どちらも未成熟個体ですので、処女飛行で疲れた体を休めているのかも知れません。
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                     ↑ 二段になったムカシトンボの羽化殻です。隣り合わせのものもありました。
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                     ↑ 地上に落ちたスギの葉に付いていた羽化殻です。
                     結局、今日の収穫は、成虫4、羽化殻が10ヶで、満足の一日でした。

                     今日、観たムカシトンボの生態で判ったこと。
                        ①予測よりも水量のある標高600~750mの上流域にいた。(予測は800~950m)
                        ②水辺から10~35mほど離れたところで羽化していた。
                        ③水辺からの標高差も5~12mほどあった。
                        ④林道を横切った山側にも半数ほどいた。
                        ⑤羽化殻および羽化途中のものは、春に芽生えた草ではなく、枯れた木の枝や草、およびササの枝に着いていた。

                  〔感想〕
                       ①生息環境から目にすることのほとんどないムカシトンボですが、生息環境的には、ダムなどを除き人為的影響が
                        入りにくいので、アキアカネなどと比べると、今後も途絶えることなく生き続けることが出来るトンボのように感じた。
                       ②カエルの調査や、山登りなどで入っていた地域でしたが、確認の時期やポイントがズレていました。
                       ③なぜ、ムカシトンボは水辺から離れて羽化するのか興味がわきました。時間があれば調査したいですが、若い方々
                        の今後に待ちたいと思います。
                       ④今後は、成熟個体の飛翔や産卵を観たいものです。
                       ⑤なんでもそうですが、いないことの証明は難しく感じます。なぜなら、見落としがあまりにも多いからです。
                        マダラナニワトンボとの某ため池での出会いは、この地にいるとは思ってなかったため偶然の結果でした。
                        某ため池は、トンボ以外の調査で10年ほど通っていたため池でありながら出会うことはなく、たまたま時期と時間が
                        偶然合ったに過ぎません。
                        今回のムカシトンボの場合は、山の上で偶然の出会いがあり、その山域をそれなりに見てはいたのですが、時期、
                        見る流域、見るポイントなどが外れていたように思います。
                        N増しとしては、同じ山域の他の沢筋を調査出来たらと思いますが、来年度以降になりそうです。

                        お忙しい中を睡眠時間もあまり取らず、ご案内下さったHさん。
                        そして、産地入りを承諾くださり、現地で偶然お会い出来た、加茂地域のムカシトンボの発見者であり、その生態を
                        明らかにされたUさんに、改めて感謝申し上げます。ありがとうございます。
                        縁とは不思議なもので、Uさんとは、4月24日、某地でヒキガエルのオタマジャクシを救出していたとき、偶然お会い
                        してました。
by tombo-crazy | 2011-05-06 06:15 | ムカシトンボ科
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