赤とんぼ探し

2015年9月30日(水)うすぐもり

 稲刈りの頃、各地で普通に見れた赤とんぼ(アカネ属)も、今は、探し回らないと見ることが出来ません。

 先日も、中部地区のテレビ局CBCが、「秋の使者に異変・消えた赤とんぼ」と言う番組を放映していました。
その中で番組スタッフの人たちが、アキアカネを求めて三重県の菰野町でトンボ捕り網を持って探し回ったのですが、
アキアカネは確認出来ませんでした。
案内役のトンボ研究家石田昇三さん(84)によれば、菰野町ではここ10数年見てないとのことでした。
なお、菰野町はアキアカネのマーキング調査で知られた御在所岳の麓の町です。
マーキング調査は1973年頃からやってられるようですが、アキアカネがどこまで飛んで行くかの関心は高かったようですが、
足元のアキアカネの生息数や環境の変化に対する視点(活動)が不足していたように思います。
でも、一つだけ救いがありました。
地元菰野町で、アキアカネ復活を願ったコメ作りの方を紹介していたことです。
今からでも遅くないと思います。
以前と比べ少なくなっているとは言え、御在所岳には、夏の間、どこからか飛んで来たアキアカネがいるのですから、
麓の環境を良くして、一部のアキアカネが菰野町に舞い降り、田んぼで卵を産んでくれるようにすればいいのです。
上空を通り過ぎたり、産卵しても羽化につながらない田んぼを減らすことです。
さしあたっては、山頂でのマーキング調査に当てているパワー配分を見直して、農家の方と力を合わせ、稲刈り後、産卵に適したジュクジュクした田んぼを増やすことです。

 なお、アキアカネの場合、水深を深くし過ぎると、産卵を避ける傾向にあります。
コンバインの轍や、人間の足跡に水が残るくらいが適しています。
そして、産卵に来た田んぼを手分けして確認し、地図に落としておきます。
産卵を確認した田んぼは翌年は大豆や小麦でなく、水を必要とするコメを作ることです。
品種によっては、アキアカネの生活史と田んぼに水が入っている時期が合わない場合がありますが、
孵化から幼虫の期間の6~7割が重なっていれば、ある割合はトンボになりますので大丈夫です。
そして、有害性が判っている箱処理剤の使用は止め、他の農薬についても出来るだけ使用を少なくして、
6月になったら手分けして羽化の確認をします。
羽化が確認出来た田んぼは、産卵を確認した田んぼ同様、地図に落とします。
次の年は、羽化が確認出来た田んぼと同じ品種か、同じようなコメ作りの田んぼを増やせば、菰野町にもアキアカネは復活します。
このことは、全国各地で展開可能です。

 ただ、地域によっては、農業関係者の都合で、ブロックローテーション(集団転作)される場合もあります。
農業関係者が生きていくためには、現状では仕方がないので、将来、転作のやり方を見直すまでは、協力頂ける田んぼだけでもやることです。
それでも、何もやらず、赤とんぼがいなくなったと思っているだけよりは効果があります。

 それと、担い手不足で耕作を止めた田んぼを、トンボのための水辺として再生し維持することで、アキアカネをはじめ、たくさんのトンボを呼び戻せます。
産卵適地が減っているだけに、トンボたちは、より良い水辺を探して彷徨っているのですから、たいていの場合来てくれます。
水辺に多様性を持たせれば、トンボの種類も期待出来、トンボ以外の生きものにもプラスします。
トンボの良い点は、翅がありますから、環境さえ良くすれば、トンボのほうから来てくれることです。
持ち込まなくてよいのがトンボの良さです。(持ち込みに伴う問題がない)

 とりあえず、やる気のある人を2~3名募りスタートすることです。
年ごとに増えて来るトンボを観れば、賛同者は増えて来ます。
 トンボが戻って来たら、子どもたちを招いて、一緒に羽化や産卵の観察をし、数が増えて来たらトンボ捕りをして遊んでもらうのも、子どもたちには楽しく科学をする眼を育てることにつながります。

 今の時期にやることは、産卵している田んぼの確認です。
そして、翌年の4月頃までに、農家の方の協力を取り付けることです。
トンボは益虫ですから、増えることを嫌がる農家の方は少ないです。
ただ、心配事は、農薬を減らすので、人手がかかることや、品種の見直しなどです。
農協にも間に入って頂き、一緒に考え、行動することです。
 私たちの場合、JAあいち豊田さんとも協力し合いアキアカネなどの赤とんぼ復活に取り組んでいます。

 全国各地で、アキアカネなどの赤とんぼのことを考えたコメ作りがされることを願っています。
田んぼを持ってない方は、お米を食べることで貢献できます。
パワーややる気のある方は、耕作放棄田の活用をぜひ、やってください。
それらが赤とんぼの減少に歯止めになります。

 アキアカネの場合、一番の減少要因は、減反政策などの影響で毎年コメを作らない田んぼが増えていること、そして箱処理剤など一部農薬の影響のように感じています。
米価の下落は、耕作者の意欲を奪っています。
でも、諦めてはいません。

 アサギマダラのマーキング調査も、どこまで飛んで行ったかが興味の対象となっている点、気がついた時には、激減していたとならなければと思います。


 前置きが長くなりましたが、赤とんぼたちはいたのでしょうか?

 調査地① 9:10~10:25 岡崎市渡通津町(わつづちょう)
      標高300~280mの山々に挟まれた、標高210mに田んぼがある住民12名の集落です。

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      どの田んぼも稲刈りが済んでいました。(栽培品種はミネアサヒ)
      確認出来たアカネ属 アキアカネ(25+)、リスアカネ(3…♀のみ)、ヒメアカネ(2)
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▲ アキアカネは7ペアの連結産卵も確認出来ました。(獣害対策ワイヤーメッシュ柵越しに撮影)
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▲ ヒメアカネです。15年ほど前と比べ耕作を止めた田んぼが増え、一部湿地化していた関係のようです。

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▲ 意外だったのは、リスアカネです。確認出来たのは♀だけでしたが、谷間の小池には♂もいるようです。

  畑仕事をされていた2人のご婦人の話では、イノシシだけでなく、サル、ニホンジカ、ハクビシン、タヌキなどもいて
 池へ行くには、二重に張られた獣害対策の柵があるので大変ですよ。とのことで、行くのは止めました。

 なお、谷間の奥の沢筋にはミルンヤンマが探雌飛翔をしていました。一度産卵を観てみたいです。

 
 調査地② 11:15~13:25 設楽町豊邦
      標高900~1000mほどの山々に挟まれた、標高470mの国道と渓流の間の田んぼです。
      調査地①同様、稲刈りは済んでいました。(栽培品種はミネアサヒ)
      ここも、数年ほど前からワイヤーメッシュ柵で囲われていますので、地主さんに目的を告げて、田んぼへ入らせて頂きました。
      確認出来たアカネ属 ミヤマアカネ(150+)、アキアカネ(10+)
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▲ 2年ほど来てませんでしたが、ミヤマアカネが一杯で、以前の環境が保たれていました。右手が国道。左手の茶畑の奥は渓流です。
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▲ ミヤマアカネの♀です。
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▲ ミヤマアカネの♂です。
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▲ ミヤマアカネの♀(左)と♂(右)です。
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▲ ミヤマアカネたちの交尾です。
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▲ ミヤマアカネの連結です。 交尾に疲れたのか、交尾の前の小休止なのか、あるいは産卵に疲れの休止かも知れません。
  たくさんのペアたちでした。
  数がいるせいか、♂同士が争う姿はほとんどありませんでした。ミヤマアカネにとっては桃源郷と言ってよさそうです。
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▲ ミヤマアカネの連結産卵です。
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▲ 数頭でしたがアキアカネもいました。写真は♀です。


 調査地③ 14:25~15:15 設楽町東納庫(したらちょうひがしなぐら)
      標高1190mの奥三河の名山碁盤石山や1072mの仏庫裡(ぶっくり)などに囲まれた標高650mほどの準平原にある広々とした田んぼです。 
      この地域は、毎年ノシメトンボが多数確認されていますが、時間が遅いこともあり数はわずかでした。
      田んぼは稲を刈り終えた所(アキタコマチなど)と、これからの所が半々でした。
      確認出来たアカネ属 ノシメトンボ(7)、アキアカネ(3)
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▲ 東納庫の風景です。背後の山は岩岳(1051m)です。

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▲ ノシメトンボの単独産卵です。 時間が遅かったせいか、この個体だけでした。
 次回は午前中に入り、連結産卵を観たいと思います。
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▲ ♂たちはお休みモードでした。
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▲ 休んでいる♀もいました。
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▲ ノビタキが10数羽いました。


 調査地④ 14:35~16:10 設楽町西納庫(したらちょうにしなぐら) 
      今日、最後の調査地は、碁盤石山(1190m)から西へ流れる本洞川沿いにある標高640mほどにある田んぼです。
      時間が遅かったのですが、アキアカネ(20+)、ミヤマアカネ(152+)、ヒメアカネ(3)、マユタテアカネ(2)が確認出来ました。
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by tombo-crazy | 2015-09-30 23:30 | トンボ見て歩記 | Comments(2)
Commented by tombo-crazy at 2015-10-03 23:27
春日瑠璃様へ コメント拝見しました。 貴重なご意見をありがとうございました。
私も、ムギとイネの栽培時期(田んぼに水が入っていた時期)と、アキアカネの発生の関係の信頼できるデーターを知りません。ただ、二毛作でもアキアカネが生息していたとの話は各地で聞かれますので、事実と受け止めています。通常、アキアカネは4月半ば~5月始めにかけて孵化すると言われていますが、①それよりも遅く孵化することの可能性。②かつての田んぼは湿田が多かった。③梅雨の効果。④田んぼに入れる水を温めるための水路や、導水のための小川の存在。などが、アキアカネの生活史との若干のズレを補い、アキアカネの幼虫の生存を可能にしていたのではと考えています。実際、圃場整備による乾田化されてない山間の田んぼの場合、6月田植えの田んぼでもアキアカネの羽化を私自身確認しています。よって、私自身は、アキアカネの減少は、イネの作付け時期の影響よりも、産卵された田んぼで翌年イネを栽培しないことが一番の要因と受け止めています。勿論、有害と判っている箱処理剤は使用しないことが前提です。
Commented by 春日瑠璃 at 2015-10-04 06:59 x
調子にのり、蛇足します。1950年代初期、中学生の時に6月に2回、農繁休業と言って3日ずつくらい続けて休校日がありました。2回めの6月中旬~下旬が田植えです。この季節は単作のどた(湿田)・半どたでも同様でした。
赤蜻蛉(すくなくともアキアカネ)はいっぱいいっぱいたくさんいたのです。町なかの我が家でも枝先きにとまっているアキアカネの方角(頭の向き)と高さを調べたことがあります。2時間ほどで約200匹を測ったのです。
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