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マダラナニワトンボの不思議

2011年10月12日

明日から暫く天気が崩れるとの予報で、7日に訪ねたマダラナニワトンボの生息地を再び訪ねました。
確認したかったことは三つあります。

      ① 水辺に現れる時間帯
      ② どこから来て、どこへ行くのか?
      ③ 待機♂は連結相手を得られるのか?

家を8:25に出て、目的地の古池には9:56に着きました。 気温は19℃でした。 
とりあえず、池とその周辺を肉眼と双眼鏡とでトンボの観察を試みましたが、
水辺とその周辺ではマダラナニワトンボの姿は確認できませんでした。
水辺にいたのは、ホバーリングを繰り返しながら縄張り飛行をする2頭のキトンボ♂と、♀を探す4頭のオオルリボシヤンマ、
木陰の小枝で休む4頭のオオアオイトトンボ、草地で休むリスアカネ2頭に、ヒメアカネ4頭でした。
池の周りの木々の樹幹部付近にマダラナニワトンボがいないかと、双眼鏡で繰り返し探したのですが、
見つかるのはノシメトンボやネキトンボなどで、それらしいトンボは見つかりませんでした。

(参考)12日に古池で確認できたトンボ

    リスアカネ、キトンボ、ネキトンボ、ヒメアカネ、マダラナニワトンボ、
    コノシメトンボ、ノシメトンボ、アキアカネ、
    アオイトトンボ、オオアオイトトンボ、アジアイトトンボ、オオルリボシヤンマ、オニヤンマ       ( 全13種 )
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↑ 最初に見つけたマダラナニワトンボの♂です。 (11:17 気温 20℃)
山側から水面に枝を張り出した常緑樹の高さ1.2mほどのところに、いつの間にか止まっていました。

水辺に現れる時間帯
マダラナニワトンボが最初に水辺で確認された時間は、7日のときは11:08で、今回は11:17です。
今回は気温はやや高めですが、9分ほど遅れて水辺へ来ていますが誤差の範囲と思われます。
あるいは、先回、早く水辺へ現れたのは、前日までの雨模様が影響し、産卵を待たされた個体が多かったとも考えられます。
いずれにせよ、マダラナニワトンボが水辺に現れる時間帯は、昼を挟んだ1時間前後との定説どおりでした。
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↑ 2頭目のマダラナニワトンボの♂です。 (11:22 気温 20℃)
残念ですが、どこから飛んで来たのか判りませんでした。
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↑ 3頭目のナニワトンボ♂です。 (11:23 気温 20℃)
山側からスーっと飛んで来て倒木の枝に止まりました。 
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↑ 4頭目のナニワトンボ♂です。 (11:26 気温 21℃)
自然歩道を歩いていた方と話をしていたら、その方の左腕に止まりましたが、どこから飛んで来たのか判らずじまいでした。
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↑ この個体は私の帽子にも止まったりしていたので、帽子を取って草原に置いたら早速止まってくれ、写真に撮ることが出来ました。
連結相手のいない待機♂なのですが、性格はおっとりしているようです。
良い花嫁さんと結ばれたら良いと思っていましたが、最後まで相手は現れませんでした。

今回は、単独で水辺へ来てそのときを待つ待機♂は5頭いましたが、どの個体も相手を得ることは出来ませんでした。
人間界に限らず、自然界も現実は厳しく、性格が良くても、強い上に運もないと子孫を残すことは難しいようです。

どこから来るのか
単独♂も、連結ペアも、いつの間にか水辺へ来ていることが多く、
交尾についても、水辺では観察されず、どのペアも連結状態で水辺に現れました。
来年以降に、視力の良い同時観察者を増やし、再調査したいと思います。 
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↑ 連結産卵するペアと背後の待機♂
待機♂は、産卵中の連結ペアの近くをホバーリングしたりして気を惹こうとしているようなのですが、
連結ペアの絆は固いようで、まったく相手にしてもらえません。
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↑ 産卵は11:29~12:34までの1時間5分の間で淡々と続きました。 (気温 21~23℃)
なお、7日に観察したときの連結産卵は、11:11~12:02までの51分間に行われ、連結産卵するペアの数は23でしたが、
今回は8ペアと、1/3ほどに減っていて、産卵のピークが過ぎていたことが確認出来ました。

どこへ行くのか
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↑ 連結を解いたペアが移動した先の樹木です。(倒木の横のウメモドキ)
    
マダラナニワトンボたちはどこへ去るのかも知りたいことのひとつでしたが、ワンペアだけでしたが、産卵を終え、くるくると急旋回しながら上昇したと思ったら、8mほど離れ潅木の梢近くの葉に♂、♀共に一旦止まり、15分ほどして、奥の林の上へと消えて行きました。
どこへ消えるかについても、今後のN増しが必要に思いました。

いなくなった時間
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↑ 最後まで水辺にいた♂です。
ちなみにこの個体が林の奥に消えたのは最後のペアが消えた後10分ほど経った12:56でした。
消える時間帯も定説どおりでした。

気がかり
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↑ オオバコの生えている草地に産卵するマダラナニワトンボです。

今回訪ねた古池は、現在、私が知るマダラナニワトンボの産地の中では最も個体数が多いところですが、
自然歩道沿いと言うこともあり、年間を通して、水辺で休んで行かれる方が多いため、水辺の一部は硬くなり、踏み圧があると生えてくるオオバコが増えています。
歴史的な池で景観も良いことから、無粋な柵は避けたいのですが、マダラナニワトンボが産卵する草地をどう確保していくかが今後の課題で、気がかりでした。
池から少し離れた所に、地元の方がご好意で造られた休憩舎があるのですが、冬場や雨のとき以外は水辺の草の上で休む方が多いと思われます。
草地保護のためにマダラナニワトンボ生息地の案内板を立て、協力を要請するのは採集圧が高まるのでリスクが大きいです。
路肩に近いところへベンチを置くことも一案かもしれません。

おまけです。
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↑ ♀のマダラトンボです。卵も着いています。(2011.10.12撮影)

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↑ ♂のマダラトンボです。 (2011.10.7撮影) 成熟した♂と♀では、体や翅の色合いが異なるのが分かります。
私は標本づくりはしないので、どちらも写真を撮った後、放しました。



独り言

私にとってマダラナニワトンボは、なつかしいトンボに目を向けさせるきっかけとなったトンボです。
環境省の絶滅危惧種Ⅰ類であることも、そんな貴重なトンボが私の住む町で再発見されることも、その再発見者が私になることも知らずに、身近な生きものをひとくくりとして、カエルなどを観たり、山登りをしたりして自然と接して来ました。
トンボを観るようになって、より身近な自然が危機的状況にあることも痛切に感じています。
赤とんぼの代表のアキアカネは、家の周りの田んぼから姿を消しています。
全国的には絶滅危惧種には指定されていませんが、地域単位で見たら絶滅地域が増えています。
有名な棚田を何ヶ所か調べましたが、やはり姿が見れませんでした。
この夏、突然、網膜はく離になってしまい手術をしました。
メガネをかけて1.0ほどあった視力は0.5まで落ち込んでしまいましたが、見える間に、たくさんのトンボを観て、たくさんの人のご協力を得ながら、トンボを楽しむだけでなく、今やれること、やるべきことを、やって行きたいと願っています。
谷間に放置された田んぼの、なつかしい生きものの生息空間としての再生・維持活動もそのひとつです。

同じ想いの方の連絡をお待ちしています。
連携しあって、子供たちが、家や学校の周辺で、再びトンボ捕りが出来るようにしたいと夢見ています。
        
        


     
by tombo-crazy | 2011-10-14 19:03 | トンボ科アカネ属 | Comments(0)

マダラナニワトンボの産卵

   2011年10月7日

       雨が二日続いた後の晴天です。時期も良しと、トンボ狂会の仲間とマダラナニワトンボの産卵を観察に行きました。
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       ↑ マダラナニワトンボが生息する古池です。
         文献などでは、マダラナニワトンボの生息地の条件のひとつに、水辺の周囲にマツを主とした疎林があるとの記載がありますが、
         今回の観察地は、里山林(2次林)の遷移が進み、常緑樹の占有率が6割を超える状態でしたので、
         マダラナニワトンボの今後の生育にどのような影響があるのか、今後に注視が必要です。
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       ↑ 最初に池に現れたマダラナニワトンボの♂です。 気温は18℃になっていました。 (11:08)
         マダラナニワトンボは不思議な習性のトンボで、ある季節にいつも水辺にいるかというとそうではありません。
         これまでの観察結果から、産卵のときにだけ、ごく限られた時間に水辺に現れるようで、
         水辺に来る時期や時間帯は、地域、天候などで多少ずれ込むようです。
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       ↑ 連結して産卵にやって来たマダラナニワトンボのペアです。 (11:11)
         産卵は、これまで言われているように、池の岸辺の湿った土や草地の上での連結打空産卵でした。
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       ↑ 連結して、どこからともなく次々と水辺へ現れるペアです。 (11:43)
         文献によれば、疎林の樹冠部付近で連結し、水辺へ来るようであると記されているのですが、残念ですが、交尾の場所や、
         どこから飛んで来るのかは確認出来ませんでした。
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       ↑ 次々と水辺へ現れるペアです。 (11:45)
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       ↑ 産卵がピークを迎えた頃は、目の前に連結した3~4ペアを同時に観ることが出来ました。(12:01)         
         産卵のため水辺に現れたペアは23を数え、これまでの最高でした。 (気温21℃)
         結局、この日の産卵は、11:11から12:02の間に行われました。
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       ↑ 相手が見つからず、最後まで水辺に留まっていたマダラナニワトンボ♂です。 (12:26)
         以前の観察では、産卵を終えた連結ペアの♀を捕まえ、交尾に至る♂を観たことがありますが、
         今回の観察では、交尾してもらえる相手がいなくてあぶれた♂が6個体いました。
         産卵に来た今回のペアたちは、産卵を終えると、水辺に留まることなく、連結を解いて、いつの間にか消えていました。
by tombo-crazy | 2011-10-12 07:39 | トンボ科アカネ属 | Comments(0)

新天地を求めるマダラナニワトンボ

   2011年10月3日
      トンボ狂会のHさんと10:30に待ち合せ、アカネ属のトンボ探しをしました。
      16:10までに11種を確認することが出来ました。まずまずでした。(下記)
      昔なら生息地を見て歩けば難なく見れたアカネ属ですが、昨今は探して歩かないと見つからないのが辛いです。

      昨年、Hさんが見つけたマダラナニワトンボがいた湿地へ行ったら、1頭が産卵中でした。
      湿地に着いてすぐ、もう1頭見たのですが、すぐに林のほうへ飛んでいってしまい性別すら判りませんでした。
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      ↑↓ 卵が見えます。
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      ↑ マダラナニワトンボがいた湿地です。
      以前からいたため池に隣接する湿地からは直線で1.2Kmほどの距離です。
      私が他に二ヶ所(直線距離0.75~1.8Km)見つけていますので、この湿地で生息地は4ヶ所になります。
      ただ、どの水辺も生息が確認された個体数は1~3頭でしかありません。
      このことは増えて来ての分散と言うよりも、新天地を求めて分散していると受け止めるのが妥当なようで、
      当地におけるマダラナニワトンボの生息は厳しい状況にあると考えています。


    ■今回確認できたアカネ属
           アキアカネ、ナツアカネ、マユタテアカネ、ヒメアカネ、マイコアカネ、
           ネキトンボ、リスアカネ、コノシメトンボ、ノシメトンボ、ミヤマアカネ、
           マダラナニワトンボ
by tombo-crazy | 2011-10-06 22:45 | トンボ科アカネ属 | Comments(0)