アキアカネ (トンボ科アカネ属)

2008年10月2日

ここ15年ほどで、平地の田んぼから、群れ飛ぶアキアカネを見ることがほとんど出来なくなりましたが、
中山間地の田んぼでは、今でも田んぼによっては見ることが出来ます。
それらアキアカネが確認出来ている田んぼは、
①田んぼ全体、または、その一部が、一年中、ジュクジュクしていることが多い。(湿田)
②毎年コメ作りをしている。
③強い農薬を使っていない。
などの共通項があり、アキアカネの生息を可能にしているように思います。
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写真のトンボは、上段がアキアカネ成熟♂、中段が成熟♀です。 (2008年10月2日 金蔵連)
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↑ 連結打泥産卵中のアキアカネ   (2008年1002日 金蔵連) 
   
ただ、そのような自然豊かな中山間地の田んぼにも、不安要素があります。
それは、過疎化や高齢化などで耕作を止めるところが増えていることです。
唱歌「赤とんぼ」に歌われ、秋の風物詩として馴染み深かったアキアカネも、
このまま何の手だてもしなければ、全国各地で姿を消して行くと思われます。
赤とんぼたちが消えて行く要因として、私がフィールドにしている平地の田んぼを観ていると、
コメ作りを毎年続ける所が少なくなっていることが、
哺場整備による乾田化や、農薬使用、農事暦の変化などより影響が大きいようです。
作らない一番の理由は、国の減反政策です。
実際、毎年コメづくりを続けている所では、
今でも、ホタルや、赤とんぼ、ギンヤンマ、シオカラトンボなどが確認出来ることが多いように思います。
生産調整とは言え、各田んぼの一部で毎年コメをつくり続けるか、水を入れたジュクジュクしたエリアを確保出来たらと思います。
町に住む人たちが、すぐにでも出来ることは、おコメを食べることでしょうか。
それと、田んぼに、ヒマワリや、菜の花を植えて楽しむことは止めたいものです。
田んぼはイネを栽培してこその田んぼですし、そのことによって、縄文時代後期から田んぼと共に生き続けて来たたくさんの生きものたちが救われるように思うのですが…。

ブロックローテーションと言われる、地域をブロックに分け、広範囲に亘ってコメ以外の大豆や小麦などの作物を作った所は
トンボだけでなく、カエルなども消えていて脅威になっています。



# by tombo-crazy | 2008-10-03 21:28 | トンボ科アカネ属 | Comments(0)

ミヤマアカネ (トンボ科アカネ属)

2008年10月2日

SSさんたちと、金蔵連の矢澤さんの田んぼの手伝いに行って来ました。
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田んぼのある金蔵連(ごんぞうれ)は、もみじで有名な香嵐渓から足助川の支流を更に奥に入った所にあり、
武田信玄の隠し金山があったと伝えられる、いわゆる限界集落です。
矢澤さんは、奥さんと共に、50年以上コメ作りを続けて来られ、いつお訪ねしても田んぼの周りはきれいに草が刈られていて、
私たちの田んぼとは大違いで、教えていただくことがたくさんです。
昔ながらのコメ作りですから、田んぼの周りには、いろんな植物や生きものがいます。
今日は、稲刈りの予定でしたが、連日の雨で田んぼに水が溜まっていたため、稲刈りは途中で止め、
はざ(稲架)作りと、はざ掛けをしました。
写真、はざ杭にとまっているのがミヤマアカネの♀です。
他には、アキアカネや、ヒメアカネ、アオイトトンボ、オオアオイトトンボ、アジアイトトンボなどがいました。
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こちらがミヤマアカネの♂です。(上記写真は、いずれも2008.10.2 金蔵連で)
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↑ 成熟♂ (2006.9.4 金蔵連)
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↑ 成熟♂   (2009.9.7 金蔵連)
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 ↑ 未成熟♀   (2009.9.7 金蔵連)
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 ↑ 未成熟♀    (2009.9.7 金蔵連)

全国各地で、山間の田んぼが消えようとしています。
田んぼと共に生息して来たなつかしい生きものたちを次の時代につなぐためにも、
田んぼの存続や再生を、町の人たちも力を合せてやれたらと思います。



# by tombo-crazy | 2008-10-03 21:00 | トンボ科アカネ属 | Comments(0)

加茂地方について

■加茂地方について
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  (上の図は、豊田加茂農林水産事務所の資料より抜粋)

「加茂地方」とは、愛知県中央部の北側に位置し、岐阜と長野県とも接する地域で、中央部を矢作川が北から南へと流れ、
西側の一部を除き、その大半が中山間地で占められています。
その中心は自動車の町として知られる豊田市(旧挙母市・ころも)ですが、西加茂郡挙母町時代は養蚕の町でもありました。
隣接する市町村は、西に尾張の瀬戸市や日進市など、東は奥三河と呼ばれる設楽郡の津具村や北設楽町、そして、東三河の新城市、南は西三河の岡崎市や、安城市、知立市、刈谷市などと接しています。
加茂地方には、かつて、東加茂郡、西加茂郡と、碧海郡の一部と、豊田市がありましたが、
平成の大合併で加茂地方の大半の町村が豊田市に編入され、かろうじて西加茂郡三好町が残されていますが、
その三好町も2010年1月4日から「みよし市」となるため、132年間の歴史ある加茂郡の名前は消えてしまいます。
私たちは、由緒ある加茂の名前を後世に伝えたかったのと、
東西加茂郡が存在した頃は、今よりもたくさんのトンボを見ることが出来ましたので、その頃の自然の復活を願い、「加茂地方」の名を使うことにしました。
2010年1月4日以降は、加茂地方=豊田市+みよし市 となります。

なお、「加茂のトンボ」で取り上げるトンボは、これらの地域内で確認されたトンボを主としていますが、
将来、当地へも飛んで来てほしいとの願いを込めて、一部区域外のトンボも取り上げ(区域外:〇〇)で示しています。

主たる観察地は、『カエルの分校』が、トンボやカエルなどの、なつかしい生きものたちが消えないようにと、
かつての棚田を、周囲の山ごとお借りし、水辺として維持管理しているエリアで、
旧東加茂郡松平町の「カエル谷」や「風の谷」および、旧西加茂郡足助町の「金蔵連」などです。
なお、「カエル谷」と「風の谷」で、これまでに確認されたトンボは58種類です。(2009年10月現在)     
ただ、それらの中には一過性のトンボも含まれているため、将来は定着するようにと、多様な水辺環境を保つようにしています。

なお、加茂地方の大半を指す、もう一つの呼び方に「西三河」がありますが、加茂地方の中には、奥三河や東三河の一部が含まれます。

                   

# by tombo-crazy | 2008-09-15 20:06 | 加茂地方について | Comments(0)

リスアカネ (トンボ科アカネ属)

                     
翅の先が黒褐色の赤とんぼは、ノシメトンボ、コノシメトンボ、リスアカネと、マユタテアカネ♀の一部の4種いますが、
その中ではマユタテアカネと共に小さなリスアカネです。
慣れないうちは、マユタテアカネとリスアカネは似たような大きさで判り難いのですが、
マユタテアカネの顔には、お公家さんの眉のような斑紋があるので、顔が見えたらどちらであるか判別可能です。             

動物のリスを連想させる名前ですが、スイスのトンボ学者Friedrich Risにちなんで名づけられたそうです。
平地で見かけることは少なく、林に囲まれた、遠浅の池や沼の薄暗い畔を好むように思います。
個体数が多くないので、その気で探し当てるトンボですが、そのような場所を記憶していれば、毎年見ることが出来ます。
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   ↑ どちらも成熟した♂です。  (06年8月16日 天神前の池畔にて)
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   ↑ 顔や胸などの色合いから、成熟間もない♂のようです。(11年9月16日 飯野・小田池)
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   ↑ レンズを向けたら首をかしげた♂でした。
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   ↑ やはり成熟間もない♂です。(11年9月16日 飯野・小田池)
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   ↑ 連結したまま休むペアのリスアカネです。(左♂、右♀) ♀の色合いも中々いい感じです。(11年9月16日 飯野・小田池)
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   ↑ 小田池です。周囲は林に囲まれ、ジュンサイなどの浮葉植物があり、正面には湧水湿地があります。
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   ↑ 鉛池です。小田池と比べ大きな池です。浮葉植物はあまりありませんが、抽水植が繁茂しています。
   マイコアカネ探しで出かけたら、マユタテアカネとリスアカネと、ノシメトンボのアカネ属がいました。    (11年9月19日 豊田市・鉛池)
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   ↑ 珍しく地べたに止まる♂です。他にも成熟し、きれいな色合いのリスアカネがたくさんいました。 (11年9月19日 豊田市・鉛池)
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   ↑ 薄暗い林床を連結して飛んでいるペアがいました。(11年9月19日 豊田市・鉛池)
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   ↑ ペアを解いた♀は、産卵を始めました。 (11年9月19日 豊田市・鉛池)
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   ↑ 水辺でなく、林の縁で産卵する♀です。(11年9月19日 豊田市・鉛池)


 トンボの識別で思うこと

 サナエトンボや、一部のイトトンボとアカネ属は、野外でチラッと見たぐらいでは種の同定が出来ないことがしばしばです。
まして、記憶力に自信がなくなると、何の仲間と言うことぐらいで、その場での断定は、とても出来ません。
多くのトンボの識別で大切なことは、それらのポイントを押さえておくことと、いつ頃、どんな所に生息し、どんな産卵の仕方かを知っておくことのようです。
勿論、遠くから目で見て判る種は少ないですから、網で捕らえ、それらの特徴をよく観察し、出来れば写真に撮っておいて、専門の図鑑で、絵や写真だけを目で追うだけではなく、記載されている文章をしっかり確認することが大切に思います。
それらのくり返しが、トンボや、自然界の生物を識別する早道のように思います。
それと、一度に欲張って憶えようとしないことでしょうか。
一番危ういのは、他人に頼ることです
相手が専門家や、地道に研究している方であればほぼ問題ないのですが、インターネットの世界で解るように、素人の図鑑モドキサイトがありますから、そのようなサイトに頼ると、結局は電報ごっこになってしまい、誤って認識してしまいます。
それと、網で捕まえるのを悪とする風潮があるのは残念です。
トンボの識別には必須ですし、触ってしげしげと観てこそ、トンボの楽しみがありますし、子どもたちなら、科学をする心が育つと思うのですが、いかがでしょうか。
勿論、絶滅危惧種などは、確認後、速やかに放すことは当然と思います。
各地に行政の手で造られている自然と触れ合うための「◇▽の森」なども、生息数を増やす努力をして、子どもたちにトンボを捕まえる楽しさを、ぜひ、体験させて上げたいものです。
「とるのは写真だけ、残すのは足跡だけ!」 こんな表示は、なくしたいものです。
そのためには、より良い自然の再生と保全が肝要に思います。
すぐには踏み切れない施設にあっては、捕れる日を決めたり、指導者を付けて採集をすることも良いと思います。
なお、子供であっても、偶然、貴重種を捕まえたりすることもありますから、採集の後で関係者に確認していただき、貴重種であることなどを知ってもらうことも大切に思います。
現地案内人の知識の押し売りは、子どもたちに何の魅力もなければ、プラスにもなりません。
子ども自身の発見を大切にしたいものです。
そして、図書館などで調べる習慣も身に付けさせたいものです。
                    

# by tombo-crazy | 2008-08-16 13:55 | トンボ科アカネ属 | Comments(0)