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赤とんぼ調査 (旭地区)

   2016年10月15日(土)晴れ 気温 20℃(12:30)

   今朝は早起きして旭地区の赤とんぼ調査をして来ました。
   旭地区は平成の合併で豊田市に編入された旧東加茂郡旭町で、愛知県の北東部にあります。
   その位置は下図の通りで、矢作川上流域の東側にあり、農林業を中心とした中山間地です。
    
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(国土地理院地図より)

  
   朝早かったことと、このところの気温の低下で、山間にある田んぼのほとんどは日陰で、
   日が差している田んぼからは、湯気が出ていました。
   そんな風ですから、9時半頃までは、飛んでいるトンボの姿はありませんでした。


  調査地 ① 押井町 公民館前  標高360m 8:15~

   最初に訪ねた所は、家からは車で1時間15分ほどの押井町の中心部にある公民館&消防団詰所前の田んぼです。
   なお、地籍上は町となっていますが、かつての大字名が、平成の大合併で町と名前だけが変わっただけですから、
   古くからの町とは異なり、街並みなどはなく、山懐に民家が点在している趣です。
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↑ 公民館前はバス停になっていました。
但し、バスは水曜と金曜日の午前に計4本だけで、全国各地の中山間地が抱える問題が垣間見えます。
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↑ 日が差し始めたバス停前の田んぼです。
そして、左手前の丸い石の上に、今日始めてのアキアカネが休んでいました。
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↑ 石の上で気温と体温が上がるのを待つアキアカネです。



  調査地 ② 押井町 二井寺 東谷間 標高455m 8:30~

   次に訪ねた所は、30代のKさんが、人に安全で、赤とんぼも棲めるようにと
   有機農法でコメづくりをしている田んぼで、今年の春、アキアカネなどの羽化が多数確認されています。
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↑ 日が差し始めた田んぼです。 稲刈り後も、産卵に合わせた水管理がされていました。
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↑ 棚田の上には水辺が造られています。
(田んぼの灌漑用ではなく生きものたちのためとのこと。)
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↑ アキアカネです。
朝、立ち寄ったときは姿が観れませんでしたが、午後2時過ぎに再度訪ねたときは、10数個体いました。

 

 調査地 ③ 押井町 二井寺 西 標高440m 9:20~

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↑ アキアカネです。
日陰で気温が上がってないためか、産卵は確認出来ませんでした。




 調査地 ④ 押井町 神之辻 標高350m 9:35~

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↑ 山の上にある押井神明神社の鳥居です。
不思議なことに神社との間は、県道や田んぼになっていて、鳥居の下に神社へ続く道はありません。
昔は道が神社へ向かってあったのかも知れませんが、なぜか神聖な雰囲気がありました。
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↑ 水はけが悪く農家の方が困っているとの田んぼですが、
赤とんぼたちにはパラダイス状態で、
今回の調査で最も多くのアキアカネの産卵が確認出来ました。
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↑ アキアカネの連結産卵です。 
50ペアを超えるような産卵を確認出来ました。
Sさんから耕作者の方へ、すごい数の赤とんぼが産卵していますと、携帯でお知らせしておきました。




 調査地 ⑤ 下切町小渡小学校周辺 標高170m 10:40~

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↑ 二番穂が30cmほどに伸びていた小学校の北側の農業法人の田んぼです。 
近くに数頭のアキアカネはいたのですが、水管理がアキアカネの生活史と合ってないようで、
今年も田んぼは乾燥していて、アキアカネの産卵は確認できませんでした。
羽化についても2年連続確認出来ていません。
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↑ 例年アキアカネの羽化や産卵が確認されている田んぼです。上の田んぼとは100mほどの位置です。
左手は矢作川の堤防。正面は小渡小学校です。
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↑ アキアカネの連結産卵です。 
昨年よりはジュクジュク下部分が少なかったせいか、アキアカネの産卵ペアは少なかったですが、
それでも、20ペアほどいました。
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↑ 1頭だけいたミヤマアカネ。




  調査地 ⑥ 余平町 合鴨田周辺 標高355m 11:22~

   田んぼの草取りをアイガモの子どもにさせている農業法人の田んぼがあると言うので行ってみました。
   残念なことに「合鴨水田」の看板のある田んぼも、
   川を挟んだ対岸の「赤とんぼ米」のブランドで特別栽培している田んぼも、
   水管理がアキアカネなどの生活史と合ってなく、稲刈り後の田んぼが乾燥しジュクジュク状態でないため
   アキアカネの産卵は確認出来ませんでした。
   これらの田んぼは、羽化も確認出来ていません。
   どうもウスバキトンボをアキアカネと誤認している可能性があります。
↑ 乾燥した田んぼ。

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↑ 近くで数頭確認されたアキアカネ。
水管理などをアキアカネの生活史に少しでも合わせることで、アキアカネ復活の可能性はあると思います。
なお、カモたちはヤゴや羽化中や羽化間もないトンボを食べますから、赤とんぼを増やすには適していません。




  調査地 ⑦ 太田町蟹田 福蔵時周辺 標高410m 11:35~

   無住になったお寺をシェアハウスとして使っている若い方たちが、無農薬、合鴨活用によりコメづくりをしている田んぼです。
   産卵は確認出来ませんでしたが、近くに少数ですが、アキアカネやヒメアカネがいました。  
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↑ 奥に見えるのが曹洞宗福蔵寺です。
水側溝が改修されていて、コンクリート三面張りになっていたのが、生態系を考えたとき残念なことでした。

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↑ アキアカネです。
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↑ ヒメアカネです。


  調査地 ⑧ 太田町宮前  標高440m 12:00~

   苗作りも自前で、有機農法でコメづくりをされている方の田んぼです。   
   水はけが悪く、コメづくりで苦労されてられるとのことでしたが、
   周囲の環境と相まって、数種類の赤とんぼが確認出来ました。

   押井の神之辻の田んぼと共に、旭地区のアキアカネを増やす上で、核となる田んぼと言えます。
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↑ 湧水のため、稲刈り後も水が残る田んぼ。
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↑ アキアカネです。
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↑ アキアカネの連結産卵です。

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↑ ネキトンボです。
沼田で、所々水深があるため、田んぼを産卵場所として利用しているようです。

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↑ ナツアカネです。
稲刈り前に来ていれば、連結産卵が観れたと思います。
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↑ マユタテアカネです。



  調査地 ⑨ 伊熊町上伊熊 伊熊神社東一の谷 標高410m 12:22~

   地域の方々が、この春、休耕田を水辺として再生を始めた所で、
   今後、いろんなトンボが来てくれる可能性がありますので、私もその推移を観て行く予定です。


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↑ 再生された水辺ですが、植物が繁茂し、開放水面がほとんど消えていました。
地中にあった埋蔵種が、一斉に発芽したようです。
来春までに、開放水面を確保する予定とのことでした。
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↑ 今年の6月24日に訪ねたときの同じ水辺です。
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↑ アキアカネの♂(上)と♀(下)です。
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↑ ネキトンボです。
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↑ マユタテアカネです。
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↑ ギンヤンマらしい羽化殻もありました。

写真には撮れませんでしたが、上記以外にもシオカラトンボ、アジアイトトンボ、アオイトトンボなどがいました。
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↑ 旭地区を案内してくれたSさん(後)と、
Sさんの恩師であり、この水辺を地域の方と再生中のG先生です。




  調査地 ⑩ 伊熊町上伊熊 伊熊神社東二の谷 標高430m 13:40~

   今年の春多数のアキアカネの羽化が確認された田んぼです。
   近くには立派なシダレザクラがありました。
   来春は桜のシーズンにも来たいと思います。
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↑ アキアカネの♀(上)と、♂(下)です。
写真は撮れませんでしたが、1ペアの産卵を確認しました。



   まとめ

    今回の調査は、私自身が、これまでの調査で観ていた田んぼのほかに、
    旭地区で農業を営むSさんが、あそこだったらいるかも知れないとの田んぼを案内して頂いたとは言え、    
    私が予測したより、アキアカネが生息していました。

    今後、旭地区全体にアキアカネなどの赤とんぼを増やすためには、
       ① 赤とんぼの生活史に少しでも合ったコメづくりをする。(品種、水管理など)
       ② 毎年コメづくりをする田んぼの確保。
       ③ 既にトンボへのダメージが判っている育苗期の箱処理剤(注)などを使用しない。
       ④ 耕作を止めた田んぼを。放置でなく、水辺として再生し維持する。
    などが、その鍵になるように思います。

    また、苦労しながら赤とんぼのいるコメづくりをされている方々が、うれしさが実感できるように、
       ⑤ 裏付けのある「赤とんぼ米」の認証のしくみと、付加価値にあった価格設定と販路の確保。
       ⑥ 地域全体に浸透させるためには、小中学校と連携した「赤とんぼ観察会」などの仕掛けもあればと思います。

    なお、旭地区は、過疎化、高齢化が進行中なので、②③については、街部の支援が必要に思います。

   (注)
       箱処理剤のことについては、垣を参照ください。


       「半数以上の府県で1000分の1に減少!? 全国で激減するアキアカネ」(石川県立大学教授 上田哲行)
         http://nacsj.net/magazine/post_936.html

       「赤とんぼはなぜ減ったのか?生態リスクと地域の取り組み」()
         http://gcoe.eis.ynu.ac.jp/wp/wp-content/uploads/2009/10/120216COE.pdf



    最後になりましたが、今回の調査に、車両を提供頂いた上、旭地区内を私が観たい田んぼも含め、
    案内頂いたSさんへ、改めてお礼申し上げます。







  


   

by tombo-crazy | 2016-10-17 21:15 | トンボの棲む環境 | Comments(3)

赤トンボたちの産卵…アキアカネ (連結打泥産卵) その③ 

2012年11月9日 晴れ 

伊賀の山中で薪窯を使い作陶をしている友人から、
「今年も窯場近くにあるメグスリノキが、きれいに色づきました…。」との写真付きの手紙が届きました。 
明日の天気は良くなりそうです。仕事など、やっておきたいことはありますが、思い立ったが吉日です。
奥三河の面の木原生林にある、メグスリノキに会いに行くことにしました。
香嵐渓は紅葉のシーズンに入ってますから、渋滞を考え、家を9時に出ました。
意外なことに渋滞はなく、稲武の町には10時15分に着きました。
週間予報では雨だったことと、このところの低温が影響したのかも知れません。
時間があるので、西納庫の赤トンボを見て行くことにしました。晴れてくれば産卵が観れるかも知れません。
寄り道と言えば寄り道ですが、メグスリノキのある面の木原生林へは西納庫からは高原道路が通じてますから、
津具へ抜ける県道80号線と時間的にはさほど変わりません。


感激のアキアカネ

この辺りには、たくさんの赤トンボがいることは、10月始めに確認済みです。
でも、雲の間からのわずかな陽射しと、10℃位の天候のためか、田んぼに赤トンボの姿がありません。
碁盤石山(標高1189m)と、岩伏山(標高983m)から流れてくる川の、日当たりの良い土手を探すと、
たくさんのアキアカネが風を避けて日向ぼっこをしていました。中には、交尾態のものもいました。
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↑ 日向で休む交尾ペア。 (11:34)

陽が射してくれば、産卵が始まりそうな雰囲気でした。
産卵場所になるジュクジュクした田んぼを探すと、道路に面した小さな田んぼがありました。
幸いと言うか、他にジュクジュクした田んぼはありません。
一ヶ所しかないと言うことは、たくさんの赤トンボの産卵が見れる可能性が高いのです。わくわくしました。
太陽の位置を考え陣取る場所を決めて、ちょっと早めの弁当にしました。
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↑ 湧き水でジュクジュクした田んぼ。(標高633m) 背景の山は駒ヶ原方面です。
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↑ 近くの田んぼと集落です。 背後、左手の山は岩伏山。
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↑ 最初に産卵を始めたペアです。(11:37) この分だと予想が的中しそうです。
食事が途中だったので、とりあえず食べてからのことです。あせる必要はありません。
       
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↑ 予想が当たり、次々と産卵に来たアキアカネのペアたちです。 (11:42~12:40 気温 11~12℃)
1時間ほどの間で、200近いペアの産卵を観ることが出来ました。
こんなことは、数十年ぶりです。否、子供のとき以来かも知れません。大感激でした。
12:40になっても産卵が続いていましたが、メグスリノキも日陰になってはその価値が下がります。
たくさんのアキアカネを前にして西納庫を後にしました。




 おまけ メグスリノキ(カエデ科カエデ属)

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↑ 今日の本当の目的であったメグスリノキの紅葉です。
樹齢300年ほどでしょうか。幹周りは大人二抱えほどです。
カエデと言うとモミジとも言われるように、子供の手のひらを広げた形の葉が一般的ですが、
メグスリノキは3枚の小葉からなる複葉が特徴です。
カエデの仲間では紅葉が一番きれいに感じています。
ただ、数が少ないだけに出会うことが少ない樹と言えます。

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↑ 紅葉した面の木の山と、原生林です。


今日は、3年ぶりにメグスリノキの大木と、たくさんのアキアカネの産卵にも出会え、充実した一日でした。
感謝感謝です。







by tombo-crazy | 2012-11-10 22:57 | トンボ見て歩記 | Comments(0)