タグ:田んぼ ( 5 ) タグの人気記事

赤とんぼ調査 (旭地区)

   2016年10月15日(土)晴れ 気温 20℃(12:30)

   今朝は早起きして旭地区の赤とんぼ調査をして来ました。
   旭地区は平成の合併で豊田市に編入された旧東加茂郡旭町で、愛知県の北東部にあります。
   その位置は下図の通りで、矢作川上流域の東側にあり、農林業を中心とした中山間地です。
    
a0122264_16412550.jpg
(国土地理院地図より)

  
   朝早かったことと、このところの気温の低下で、山間にある田んぼのほとんどは日陰で、
   日が差している田んぼからは、湯気が出ていました。
   そんな風ですから、9時半頃までは、飛んでいるトンボの姿はありませんでした。


  調査地 ① 押井町 公民館前  標高360m 8:15~

   最初に訪ねた所は、家からは車で1時間15分ほどの押井町の中心部にある公民館&消防団詰所前の田んぼです。
   なお、地籍上は町となっていますが、かつての大字名が、平成の大合併で町と名前だけが変わっただけですから、
   古くからの町とは異なり、街並みなどはなく、山懐に民家が点在している趣です。
a0122264_17100266.jpg
↑ 公民館前はバス停になっていました。
但し、バスは水曜と金曜日の午前に計4本だけで、全国各地の中山間地が抱える問題が垣間見えます。
a0122264_17143044.jpg
↑ 日が差し始めたバス停前の田んぼです。
そして、左手前の丸い石の上に、今日始めてのアキアカネが休んでいました。
a0122264_17243133.jpg
↑ 石の上で気温と体温が上がるのを待つアキアカネです。



  調査地 ② 押井町 二井寺 東谷間 標高455m 8:30~

   次に訪ねた所は、30代のKさんが、人に安全で、赤とんぼも棲めるようにと
   有機農法でコメづくりをしている田んぼで、今年の春、アキアカネなどの羽化が多数確認されています。
a0122264_17375358.jpg
↑ 日が差し始めた田んぼです。 稲刈り後も、産卵に合わせた水管理がされていました。
a0122264_17462302.jpg
↑ 棚田の上には水辺が造られています。
(田んぼの灌漑用ではなく生きものたちのためとのこと。)
a0122264_17500875.jpg
↑ アキアカネです。
朝、立ち寄ったときは姿が観れませんでしたが、午後2時過ぎに再度訪ねたときは、10数個体いました。

 

 調査地 ③ 押井町 二井寺 西 標高440m 9:20~

a0122264_18264416.jpg
a0122264_18280822.jpg
a0122264_18272609.jpg
↑ アキアカネです。
日陰で気温が上がってないためか、産卵は確認出来ませんでした。




 調査地 ④ 押井町 神之辻 標高350m 9:35~

a0122264_18290428.jpg
a0122264_18411655.jpg
↑ 山の上にある押井神明神社の鳥居です。
不思議なことに神社との間は、県道や田んぼになっていて、鳥居の下に神社へ続く道はありません。
昔は道が神社へ向かってあったのかも知れませんが、なぜか神聖な雰囲気がありました。
a0122264_18294940.jpg
↑ 水はけが悪く農家の方が困っているとの田んぼですが、
赤とんぼたちにはパラダイス状態で、
今回の調査で最も多くのアキアカネの産卵が確認出来ました。
a0122264_18474513.jpg
a0122264_18484639.jpg
a0122264_18493266.jpg
a0122264_18511650.jpg
a0122264_18502398.jpg
a0122264_18542420.jpg
↑ アキアカネの連結産卵です。 
50ペアを超えるような産卵を確認出来ました。
Sさんから耕作者の方へ、すごい数の赤とんぼが産卵していますと、携帯でお知らせしておきました。




 調査地 ⑤ 下切町小渡小学校周辺 標高170m 10:40~

a0122264_21140022.jpg
↑ 二番穂が30cmほどに伸びていた小学校の北側の農業法人の田んぼです。 
近くに数頭のアキアカネはいたのですが、水管理がアキアカネの生活史と合ってないようで、
今年も田んぼは乾燥していて、アキアカネの産卵は確認できませんでした。
羽化についても2年連続確認出来ていません。
a0122264_21195717.jpg
↑ 例年アキアカネの羽化や産卵が確認されている田んぼです。上の田んぼとは100mほどの位置です。
左手は矢作川の堤防。正面は小渡小学校です。
a0122264_21232922.jpg
a0122264_21321340.jpg
a0122264_21331945.jpg
a0122264_21340422.jpg
a0122264_21353782.jpg
↑ アキアカネの連結産卵です。 
昨年よりはジュクジュク下部分が少なかったせいか、アキアカネの産卵ペアは少なかったですが、
それでも、20ペアほどいました。
a0122264_21372491.jpg
↑ 1頭だけいたミヤマアカネ。




  調査地 ⑥ 余平町 合鴨田周辺 標高355m 11:22~

   田んぼの草取りをアイガモの子どもにさせている農業法人の田んぼがあると言うので行ってみました。
   残念なことに「合鴨水田」の看板のある田んぼも、
   川を挟んだ対岸の「赤とんぼ米」のブランドで特別栽培している田んぼも、
   水管理がアキアカネなどの生活史と合ってなく、稲刈り後の田んぼが乾燥しジュクジュク状態でないため
   アキアカネの産卵は確認出来ませんでした。
   これらの田んぼは、羽化も確認出来ていません。
   どうもウスバキトンボをアキアカネと誤認している可能性があります。
↑ 乾燥した田んぼ。

a0122264_08260441.jpg
↑ 近くで数頭確認されたアキアカネ。
水管理などをアキアカネの生活史に少しでも合わせることで、アキアカネ復活の可能性はあると思います。
なお、カモたちはヤゴや羽化中や羽化間もないトンボを食べますから、赤とんぼを増やすには適していません。




  調査地 ⑦ 太田町蟹田 福蔵時周辺 標高410m 11:35~

   無住になったお寺をシェアハウスとして使っている若い方たちが、無農薬、合鴨活用によりコメづくりをしている田んぼです。
   産卵は確認出来ませんでしたが、近くに少数ですが、アキアカネやヒメアカネがいました。  
a0122264_17071180.jpg
a0122264_17111106.jpg
↑ 奥に見えるのが曹洞宗福蔵寺です。
水側溝が改修されていて、コンクリート三面張りになっていたのが、生態系を考えたとき残念なことでした。

a0122264_17231333.jpg
↑ アキアカネです。
a0122264_17203523.jpg
↑ ヒメアカネです。


  調査地 ⑧ 太田町宮前  標高440m 12:00~

   苗作りも自前で、有機農法でコメづくりをされている方の田んぼです。   
   水はけが悪く、コメづくりで苦労されてられるとのことでしたが、
   周囲の環境と相まって、数種類の赤とんぼが確認出来ました。

   押井の神之辻の田んぼと共に、旭地区のアキアカネを増やす上で、核となる田んぼと言えます。
a0122264_17273875.jpg
↑ 湧水のため、稲刈り後も水が残る田んぼ。
a0122264_17310285.jpg
↑ アキアカネです。
a0122264_17531092.jpg
a0122264_17535063.jpg
↑ アキアカネの連結産卵です。

a0122264_17362348.jpg
↑ ネキトンボです。
沼田で、所々水深があるため、田んぼを産卵場所として利用しているようです。

a0122264_17413979.jpg
↑ ナツアカネです。
稲刈り前に来ていれば、連結産卵が観れたと思います。
a0122264_17382946.jpg
↑ マユタテアカネです。



  調査地 ⑨ 伊熊町上伊熊 伊熊神社東一の谷 標高410m 12:22~

   地域の方々が、この春、休耕田を水辺として再生を始めた所で、
   今後、いろんなトンボが来てくれる可能性がありますので、私もその推移を観て行く予定です。


a0122264_18145001.jpg
↑ 再生された水辺ですが、植物が繁茂し、開放水面がほとんど消えていました。
地中にあった埋蔵種が、一斉に発芽したようです。
来春までに、開放水面を確保する予定とのことでした。
a0122264_18265307.jpg
↑ 今年の6月24日に訪ねたときの同じ水辺です。
a0122264_20195039.jpg
a0122264_20203583.jpg
↑ アキアカネの♂(上)と♀(下)です。
a0122264_20223159.jpg
↑ ネキトンボです。
a0122264_20230489.jpg
↑ マユタテアカネです。
a0122264_20235400.jpg
↑ ギンヤンマらしい羽化殻もありました。

写真には撮れませんでしたが、上記以外にもシオカラトンボ、アジアイトトンボ、アオイトトンボなどがいました。
a0122264_20334472.jpg
↑ 旭地区を案内してくれたSさん(後)と、
Sさんの恩師であり、この水辺を地域の方と再生中のG先生です。




  調査地 ⑩ 伊熊町上伊熊 伊熊神社東二の谷 標高430m 13:40~

   今年の春多数のアキアカネの羽化が確認された田んぼです。
   近くには立派なシダレザクラがありました。
   来春は桜のシーズンにも来たいと思います。
a0122264_21011372.jpg
a0122264_21101796.jpg
a0122264_21105641.jpg
↑ アキアカネの♀(上)と、♂(下)です。
写真は撮れませんでしたが、1ペアの産卵を確認しました。



   まとめ

    今回の調査は、私自身が、これまでの調査で観ていた田んぼのほかに、
    旭地区で農業を営むSさんが、あそこだったらいるかも知れないとの田んぼを案内して頂いたとは言え、    
    私が予測したより、アキアカネが生息していました。

    今後、旭地区全体にアキアカネなどの赤とんぼを増やすためには、
       ① 赤とんぼの生活史に少しでも合ったコメづくりをする。(品種、水管理など)
       ② 毎年コメづくりをする田んぼの確保。
       ③ 既にトンボへのダメージが判っている育苗期の箱処理剤(注)などを使用しない。
       ④ 耕作を止めた田んぼを。放置でなく、水辺として再生し維持する。
    などが、その鍵になるように思います。

    また、苦労しながら赤とんぼのいるコメづくりをされている方々が、うれしさが実感できるように、
       ⑤ 裏付けのある「赤とんぼ米」の認証のしくみと、付加価値にあった価格設定と販路の確保。
       ⑥ 地域全体に浸透させるためには、小中学校と連携した「赤とんぼ観察会」などの仕掛けもあればと思います。

    なお、旭地区は、過疎化、高齢化が進行中なので、②③については、街部の支援が必要に思います。

   (注)
       箱処理剤のことについては、垣を参照ください。


       「半数以上の府県で1000分の1に減少!? 全国で激減するアキアカネ」(石川県立大学教授 上田哲行)
         http://nacsj.net/magazine/post_936.html

       「赤とんぼはなぜ減ったのか?生態リスクと地域の取り組み」()
         http://gcoe.eis.ynu.ac.jp/wp/wp-content/uploads/2009/10/120216COE.pdf



    最後になりましたが、今回の調査に、車両を提供頂いた上、旭地区内を私が観たい田んぼも含め、
    案内頂いたSさんへ、改めてお礼申し上げます。







  


   

by tombo-crazy | 2016-10-17 21:15 | トンボの棲む環境 | Comments(3)

赤とんぼのいる田んぼを再び

 2015年10月24日

 このところ赤とんぼ調査が続いています。
JAあいち豊田の「赤とんぼの舞うコメづくり」活動への協力を兼ねています。
JAの呼びかけに賛同された個人農家や農業法人の田んぼと、これまで個人的に経年観察していた田んぼを回りながら、新産地がないかも観ています。

 田んぼを主な生息地として生きて来たアキアカネやナツアカネは全国的にその数を減らしていますので、
子どもの頃、トンボたちと思う存分遊んだ私たち世代としては、その復活に取り組むことは責務と思っています。
せめて小学生までは、野外で伸び伸びと遊んでほしいですから…。
出来ればトンボ捕りが出来る環境を全国の各小学区に取り戻したいと願っています。

 経年調査地は、下記の地図に示す通りです。
JAさんは2014年春からの5年計画です。
ご協力頂いているコメづくりの方々は、赤とんぼの見分け方を勉強しながらのスタートですが、何とか昔のように復活せさせたいとの想いで取り組んでられます。
とりあえずは、トンボにとって有害と指摘されている箱処理剤の使用は止め、転作はせず毎年コメづくりを続け、栽培品種や作り方は、これまでやって来た方法を大きく変えないでやって行く方向ですが、赤とんぼに関心が向くことで、それなりの成果が期待できると思っています。


a0122264_13025629.jpg


 以下、赤とんぼをたくさん観察出来た所などをアップします。



〔旧旭町平田…通称:小渡〕10月7日
  アキアカネとナツアカネの産卵がたくさん確認出来ました。
  栽培品種は愛知県が中山間地用に開発した幻のミネアサヒでした。
a0122264_16122302.jpg
近くには小学校や子ども園があるので、たくさん増やすことで、将来的には子どもたちが観察したり遊んだり出来そうです。
温泉も歩いてすぐの所にありますから、羽化や産卵に合わせて泊まりがけで観に行くことも出来そうです。
a0122264_16222071.jpg
a0122264_16220940.jpg
▲ 連結産卵するアキアカネです。
a0122264_16215790.jpg
a0122264_16214569.jpg

a0122264_16242634.jpg
a0122264_16243826.jpg
a0122264_16244868.jpg
▲ 連結産卵するナツアカネです。



〔旧藤岡町飯野…通称:小渡〕10月6日、7日
  たくさんのナツアカネと、少数ですがアキアカネの産卵が確認できました。
 ▲ 5枚ある田んぼのうち、ミネアサヒの手前2枚は稲刈りが9月27日に済んでいました。
a0122264_16333163.jpg
 ▲ 手前が大地の風が栽培されている3枚の田んぼです。ナツアカネがたくさんいました。
 ここも、近くに小学校や子ども園があるので、たくさん増やすことで、将来的には子どもたちが観察したり遊んだり出来そうです。
a0122264_16395046.jpg
a0122264_16400443.jpg
a0122264_16401693.jpg
a0122264_16403086.jpg
 ▲ ナツアカネの連結産卵です。
a0122264_16432497.jpg
 ▲ アキアカネの連結産卵です。
a0122264_16490945.jpg
 ▲ 翌日も立ち寄ったらご夫婦で稲刈りをしてられました。来春の羽化が楽しみとのことでした。




〔設楽町豊邦〕9月30日に続き、10月8日に再訪

   県内でも有数のミヤマアカネの産地です。
  ただ、獣害対策のワイヤーメッシュ柵に囲まれていますので、観察の場合、地主さんに許可を得る必要があります。

a0122264_17182026.jpg
a0122264_17183344.jpg
a0122264_17184561.jpg
 ▲ ミヤマアカネの産卵地となっている小川は、田んぼのある北側の沢の水で、国道の下を通って田んぼ脇へと流れて来ます。
a0122264_17090312.jpg
 
a0122264_17092596.jpg
 ▲ アキアカネの産卵用にと田んぼに水を蒔いておいたらアキアカネだけでなくミヤマアカネが産卵に来ました。
 小川の方の密度が濃いので、それを避けてのさんらのでしょうか?

a0122264_17335394.jpg
 ▲ 予想通り産卵に来てくれたアキアカネです。
a0122264_18143447.jpg
a0122264_18144595.jpg
a0122264_18151331.jpg
 ▲ 水をまいた田んぼで産卵するミヤマアカネ。
a0122264_18162078.jpg

a0122264_18173612.jpg
 ▲ こちらは通常の小川での産卵です。




〔豊田市大見町〕10月12日
  カエル谷の作業が終わってから用事で五ヶ丘東小学校へ行くとき覗いたらアキアカネが産卵してました。
  小学校までは歩いて10分ほどの所です。
a0122264_18320586.jpg
a0122264_18322297.jpg
a0122264_18470552.jpg
a0122264_18472956.jpg
a0122264_18473977.jpg
a0122264_18475816.jpg
a0122264_18481499.jpg

 
〔豊田市南部の高岡、竹村地区〕

 平たん部のため、勤め人が多く、個人で農業をしている方はごく少数です。
そんな関係もあり、ブロックローテーションによる転作や、乾田化の影響が出ていて、アキアカネなどの赤トンボは、たまに見かける程度で、ひと月ほど観てますが、産卵もごく少数です。
その代りウスバキトンボはたくさんいて、赤とんぼ(アカネ属)ではありませんが、地域の人たちにとっては、なじみのある風景になっています。
ブロックローテーションがなくなるか、やり方を変え、毎年コメづくりをする田んぼを確保しないと、アキアカネなどの赤とんぼを復活するのは困難に思います。
a0122264_12001781.jpg
a0122264_11595504.jpg
a0122264_12005456.jpg
 家から近いので、その後も何度か様子を観ていますが、数頭のアキアカネの産卵を確認しただけで、現在は田んぼが乾燥してしまい、赤トンボたちの姿が見えない日々が続いています。




〔豊田市八草地区〕 10月13日、14日

  面積こそ小さいですが、アカネ属赤とんぼが多種類生息している穴場です。
 栽培している品種はミネアサヒと大地の風です。
a0122264_20554466.jpg
a0122264_20561901.jpg
 今の時代には珍しくなった「はざ架け」をする地主さんです。いつも気持ち良くトンボの観察をOKしてくださいます。
a0122264_21042072.jpg
a0122264_21080363.jpg
a0122264_21125703.jpg
a0122264_21130998.jpg
a0122264_21132559.jpg
a0122264_21134759.jpg
 ▲ アキアカネです。

 
a0122264_21054833.jpg
 ▲ コノシメトンボの♂です。
a0122264_21180623.jpg
a0122264_21162453.jpg
a0122264_21164735.jpg
a0122264_21165925.jpg
a0122264_21173630.jpg
a0122264_21063566.jpg
a0122264_21183466.jpg
▲ マイコアカネの♂(上6枚)と♀(下1枚)です。
a0122264_21205868.jpg
▲ ヒメアカネの♂です。

a0122264_21221271.jpg
a0122264_21222719.jpg
a0122264_21224858.jpg
a0122264_21230660.jpg
a0122264_21234954.jpg
▲ 近くの湿地にいたノシメトンボの連結産卵です。


 つづく






 


by tombo-crazy | 2015-10-24 17:41 | つれづれ感じるままに | Comments(0)

赤とんぼ探し

2015年9月30日(水)うすぐもり

 稲刈りの頃、各地で普通に見れた赤とんぼ(アカネ属)も、今は、探し回らないと見ることが出来ません。

 先日も、中部地区のテレビ局CBCが、「秋の使者に異変・消えた赤とんぼ」と言う番組を放映していました。
その中で番組スタッフの人たちが、アキアカネを求めて三重県の菰野町でトンボ捕り網を持って探し回ったのですが、
アキアカネは確認出来ませんでした。
案内役のトンボ研究家石田昇三さん(84)によれば、菰野町ではここ10数年見てないとのことでした。
なお、菰野町はアキアカネのマーキング調査で知られた御在所岳の麓の町です。
マーキング調査は1973年頃からやってられるようですが、アキアカネがどこまで飛んで行くかの関心は高かったようですが、
足元のアキアカネの生息数や環境の変化に対する視点(活動)が不足していたように思います。
でも、一つだけ救いがありました。
地元菰野町で、アキアカネ復活を願ったコメ作りの方を紹介していたことです。
今からでも遅くないと思います。
以前と比べ少なくなっているとは言え、御在所岳には、夏の間、どこからか飛んで来たアキアカネがいるのですから、
麓の環境を良くして、一部のアキアカネが菰野町に舞い降り、田んぼで卵を産んでくれるようにすればいいのです。
上空を通り過ぎたり、産卵しても羽化につながらない田んぼを減らすことです。
さしあたっては、山頂でのマーキング調査に当てているパワー配分を見直して、農家の方と力を合わせ、稲刈り後、産卵に適したジュクジュクした田んぼを増やすことです。

 なお、アキアカネの場合、水深を深くし過ぎると、産卵を避ける傾向にあります。
コンバインの轍や、人間の足跡に水が残るくらいが適しています。
そして、産卵に来た田んぼを手分けして確認し、地図に落としておきます。
産卵を確認した田んぼは翌年は大豆や小麦でなく、水を必要とするコメを作ることです。
品種によっては、アキアカネの生活史と田んぼに水が入っている時期が合わない場合がありますが、
孵化から幼虫の期間の6~7割が重なっていれば、ある割合はトンボになりますので大丈夫です。
そして、有害性が判っている箱処理剤の使用は止め、他の農薬についても出来るだけ使用を少なくして、
6月になったら手分けして羽化の確認をします。
羽化が確認出来た田んぼは、産卵を確認した田んぼ同様、地図に落とします。
次の年は、羽化が確認出来た田んぼと同じ品種か、同じようなコメ作りの田んぼを増やせば、菰野町にもアキアカネは復活します。
このことは、全国各地で展開可能です。

 ただ、地域によっては、農業関係者の都合で、ブロックローテーション(集団転作)される場合もあります。
農業関係者が生きていくためには、現状では仕方がないので、将来、転作のやり方を見直すまでは、協力頂ける田んぼだけでもやることです。
それでも、何もやらず、赤とんぼがいなくなったと思っているだけよりは効果があります。

 それと、担い手不足で耕作を止めた田んぼを、トンボのための水辺として再生し維持することで、アキアカネをはじめ、たくさんのトンボを呼び戻せます。
産卵適地が減っているだけに、トンボたちは、より良い水辺を探して彷徨っているのですから、たいていの場合来てくれます。
水辺に多様性を持たせれば、トンボの種類も期待出来、トンボ以外の生きものにもプラスします。
トンボの良い点は、翅がありますから、環境さえ良くすれば、トンボのほうから来てくれることです。
持ち込まなくてよいのがトンボの良さです。(持ち込みに伴う問題がない)

 とりあえず、やる気のある人を2~3名募りスタートすることです。
年ごとに増えて来るトンボを観れば、賛同者は増えて来ます。
 トンボが戻って来たら、子どもたちを招いて、一緒に羽化や産卵の観察をし、数が増えて来たらトンボ捕りをして遊んでもらうのも、子どもたちには楽しく科学をする眼を育てることにつながります。

 今の時期にやることは、産卵している田んぼの確認です。
そして、翌年の4月頃までに、農家の方の協力を取り付けることです。
トンボは益虫ですから、増えることを嫌がる農家の方は少ないです。
ただ、心配事は、農薬を減らすので、人手がかかることや、品種の見直しなどです。
農協にも間に入って頂き、一緒に考え、行動することです。
 私たちの場合、JAあいち豊田さんとも協力し合いアキアカネなどの赤とんぼ復活に取り組んでいます。

 全国各地で、アキアカネなどの赤とんぼのことを考えたコメ作りがされることを願っています。
田んぼを持ってない方は、お米を食べることで貢献できます。
パワーややる気のある方は、耕作放棄田の活用をぜひ、やってください。
それらが赤とんぼの減少に歯止めになります。

 アキアカネの場合、一番の減少要因は、減反政策などの影響で毎年コメを作らない田んぼが増えていること、そして箱処理剤など一部農薬の影響のように感じています。
米価の下落は、耕作者の意欲を奪っています。
でも、諦めてはいません。

 アサギマダラのマーキング調査も、どこまで飛んで行ったかが興味の対象となっている点、気がついた時には、激減していたとならなければと思います。


 前置きが長くなりましたが、赤とんぼたちはいたのでしょうか?

 調査地① 9:10~10:25 岡崎市渡通津町(わつづちょう)
      標高300~280mの山々に挟まれた、標高210mに田んぼがある住民12名の集落です。

a0122264_18465615.jpg
a0122264_18444469.jpg
      どの田んぼも稲刈りが済んでいました。(栽培品種はミネアサヒ)
      確認出来たアカネ属 アキアカネ(25+)、リスアカネ(3…♀のみ)、ヒメアカネ(2)
a0122264_18313234.jpg
a0122264_18362255.jpg
▲ アキアカネは7ペアの連結産卵も確認出来ました。(獣害対策ワイヤーメッシュ柵越しに撮影)
a0122264_18322991.jpg
▲ ヒメアカネです。15年ほど前と比べ耕作を止めた田んぼが増え、一部湿地化していた関係のようです。

a0122264_18330486.jpg
a0122264_18332058.jpg
▲ 意外だったのは、リスアカネです。確認出来たのは♀だけでしたが、谷間の小池には♂もいるようです。

  畑仕事をされていた2人のご婦人の話では、イノシシだけでなく、サル、ニホンジカ、ハクビシン、タヌキなどもいて
 池へ行くには、二重に張られた獣害対策の柵があるので大変ですよ。とのことで、行くのは止めました。

 なお、谷間の奥の沢筋にはミルンヤンマが探雌飛翔をしていました。一度産卵を観てみたいです。

 
 調査地② 11:15~13:25 設楽町豊邦
      標高900~1000mほどの山々に挟まれた、標高470mの国道と渓流の間の田んぼです。
      調査地①同様、稲刈りは済んでいました。(栽培品種はミネアサヒ)
      ここも、数年ほど前からワイヤーメッシュ柵で囲われていますので、地主さんに目的を告げて、田んぼへ入らせて頂きました。
      確認出来たアカネ属 ミヤマアカネ(150+)、アキアカネ(10+)
a0122264_10090405.jpg
▲ 2年ほど来てませんでしたが、ミヤマアカネが一杯で、以前の環境が保たれていました。右手が国道。左手の茶畑の奥は渓流です。
a0122264_10155902.jpg
▲ ミヤマアカネの♀です。
a0122264_10173126.jpg
▲ ミヤマアカネの♂です。
a0122264_10185190.jpg
▲ ミヤマアカネの♀(左)と♂(右)です。
a0122264_10203494.jpg
a0122264_10204554.jpg
a0122264_10205723.jpg
a0122264_10211276.jpg
▲ ミヤマアカネたちの交尾です。
a0122264_10232300.jpg
a0122264_10243056.jpg
a0122264_10244225.jpg
a0122264_10253371.jpg
a0122264_10302995.jpg
▲ ミヤマアカネの連結です。 交尾に疲れたのか、交尾の前の小休止なのか、あるいは産卵に疲れの休止かも知れません。
  たくさんのペアたちでした。
  数がいるせいか、♂同士が争う姿はほとんどありませんでした。ミヤマアカネにとっては桃源郷と言ってよさそうです。
a0122264_10354805.jpg
a0122264_10355903.jpg
a0122264_10361036.jpg
a0122264_10362058.jpg
a0122264_10363126.jpg
a0122264_10371811.jpg

a0122264_10374046.jpg
a0122264_10375232.jpg
▲ ミヤマアカネの連結産卵です。
a0122264_10395124.jpg
▲ 数頭でしたがアキアカネもいました。写真は♀です。


 調査地③ 14:25~15:15 設楽町東納庫(したらちょうひがしなぐら)
      標高1190mの奥三河の名山碁盤石山や1072mの仏庫裡(ぶっくり)などに囲まれた標高650mほどの準平原にある広々とした田んぼです。 
      この地域は、毎年ノシメトンボが多数確認されていますが、時間が遅いこともあり数はわずかでした。
      田んぼは稲を刈り終えた所(アキタコマチなど)と、これからの所が半々でした。
      確認出来たアカネ属 ノシメトンボ(7)、アキアカネ(3)
a0122264_12435856.jpg
▲ 東納庫の風景です。背後の山は岩岳(1051m)です。

a0122264_12581667.jpg
a0122264_12582620.jpg
a0122264_12583731.jpg
▲ ノシメトンボの単独産卵です。 時間が遅かったせいか、この個体だけでした。
 次回は午前中に入り、連結産卵を観たいと思います。
a0122264_12592176.jpg
a0122264_12593845.jpg
▲ ♂たちはお休みモードでした。
a0122264_13003295.jpg
▲ 休んでいる♀もいました。
a0122264_13055218.jpg
▲ ノビタキが10数羽いました。


 調査地④ 14:35~16:10 設楽町西納庫(したらちょうにしなぐら) 
      今日、最後の調査地は、碁盤石山(1190m)から西へ流れる本洞川沿いにある標高640mほどにある田んぼです。
      時間が遅かったのですが、アキアカネ(20+)、ミヤマアカネ(152+)、ヒメアカネ(3)、マユタテアカネ(2)が確認出来ました。
a0122264_22305490.jpg
a0122264_22312757.jpg
a0122264_22335189.jpg
a0122264_22350630.jpg
a0122264_22300076.jpg








by tombo-crazy | 2015-09-30 23:30 | トンボ見て歩記 | Comments(2)

都会のナツアカネ

 9月21日(月)晴れ

こうじ君からナツアカネを探しませんかとメールが入り、平針の田んぼへ行きました。
近くにはオニヤンマもいるとのことで、少し早めに行きました。確かにいそうな環境がありました。

10時頃、どこですかのメールが入り、互いに声を出して無事合流。
こうじ君は友だちと一緒でした。
手分けして探し、♂のナツアカネを10頭ほど見つけたとき、「連結がいま~す!」のこうじ君の声。
広い田んぼでは、こうして手分けすると早く見つかりいいですね。
と言うことで、今日の成果です。

a0122264_18205236.jpg
a0122264_18210596.jpg
a0122264_18211957.jpg
a0122264_18230937.jpg
 ▲ ♀を探しているのでしょうか単独で稲穂の上を飛ぶナツアカネの♂たちです。

a0122264_18274272.jpg
a0122264_18281024.jpg
a0122264_18264321.jpg
 ▲ 暑いせいか、時々休む♂たちでした。

a0122264_18405079.jpg
a0122264_18413307.jpg
a0122264_18311481.jpg
a0122264_18420434.jpg
 ▲ 10:40頃になると、交尾ペアも出て来ました。
 ただ、不思議なのは、それまでの時間に♂の数は10数頭見ているのですが、♀が1頭も見つからなかったことです。
 稲の間で目立たぬよう休んでいたのでしょうか。

 11:12 初めての連結ペアが確認できました。
 以後、ぱらぱらでしたが、8ペアの連結産卵を見ることが出来ました。
 もう少し涼しくなったら、もっとたくさん見ることが出来るかもしれません。

a0122264_18470549.jpg
a0122264_18505693.jpg
a0122264_18511463.jpg
a0122264_18513447.jpg
a0122264_18525570.jpg
a0122264_18515583.jpg
 ▲ 連結産卵するナツアカネです。
 ただ、暑さのせいか、途中で連結を解き、単独産卵をするペアがいました。
 人間でも暑さの中は大変ですから、トンボたちもお疲れモードのようです。

a0122264_18580569.jpg
a0122264_18571110.jpg
a0122264_18565907.jpg
 ▲ 連結を解き単独産卵する♀たちです。
a0122264_18595054.jpg
a0122264_18593901.jpg
 ▲ ♀の産卵を見守る♂です。

a0122264_19022585.jpg
 ▲ 今日の観察地です。 地下鉄の駅から0.6kmほどに広々した田んぼがありました。(名古屋市)
a0122264_19041900.jpg
▲ 対岸ではトンボ捕りをする子供たちがいました。いまどき珍しい光景です。
 狙いはギンヤンマとオニヤンマととのことでした。
a0122264_19051134.jpg
▲ こうじ君と友だちです。

 
 コメ作りの工業化とも言えそうな農業の近代化の中で、アカネ属はどんどん姿を消しています。
 私の住む豊田市でもナツアカネを見るのは、大変稀なことです。
 そんなことを知っているこうじ君が、ナツアカネがいそうだからと誘ってくれた今日のトンボ見でした。
 おかげでナツアカネの産卵をしっかり観ることが出来ました。
 感謝感謝です。


 今日のおまけ

 今朝、庭にサンコウチョウの若い♂が2羽いました。
 我が家の庭は渡りのルート上にあるらしく、毎年いろんな野鳥が休憩に立ち寄ります。

a0122264_19223342.jpg



















by tombo-crazy | 2015-09-21 19:11 | トンボ見て歩記 | Comments(0)

カエル谷へお客様

5月13日(水)うす曇り

今日は、うれしいうれしい1日でした。
と言うのは、県の農業総合試験場の研究員の方々が「田んぼのカエルの保護の研究」のため、カエル谷を訪ねて下さったのです。
現場を観て頂きながら、カエルたちの置かれている現状(特に圃場整備された田んぼ)などについて、3時間半ほどお話しが出来たのです。
私からも、圃場整備された田んぼの問題点と、カエル復活のための方策(案)を説明させて頂きました。
トンボ屋さんたちが感じてられるように、カエルが世代交代出来る田んぼは、トンボも安心して世代交代出来る田んぼなのです。
そして、カエルもトンボも、かつては益虫として、農家は大事にし、子どもたちは学校でも教わったのです。
a0122264_15381356.jpg
▲ カエルを撮ろうとしている研究員の手に停まるシオヤトンボ。 トンボも歓迎の気持ちを込めているのでしょう。
a0122264_15381700.jpg
▲ お二人の研究員です。

日本のコメ作りを取り巻く環境は、近年、ますます厳しくなっています。
そう言う中で、農業の専門の方々から、コメを作るだけでなく、生きものにも配慮したコメ作りの研究をして頂けることに、感謝と喜びを感じました。
向こう3年計画で、形あるものにとのことでしたので、法人を含む農家の方々が、自分たちのコメ作りに合ったメニューを選択し実践出来るよう、複数メニューの提示をお願いさせて頂きました。
今後も、出来るだけ、ご協力させて頂こうと思います。

トンボとコメ作りの関係に関しては、石川県立大学の田哲行先生のアキアカネの研究が知られていて、他にも何人かの方々が調査、研究をされ、実験などもされています。
それらによれば、①育苗期に使われているフィプロニルと言う農薬の影響が大きい。
他には、②品種の多様化により、アキアカネの生活史とコメ作りの農事暦にズレが出ている。
などがアキアカネ減少の大きな要因であることが報告され、既知のこととして関係者の間で認識されつつあります。
①については、私自身、旧作手村の調査で確認しています。
その他に、私自身、危機感を持っているのが、③コメ作りを毎年続けてない田んぼの増加です。
例えば、本来ならヤゴが育つ時期に水がなく、コメに代わって、小麦などが栽培されていたり、何も植えてなかったりすることです。
そして、それらの田んぼの中には、前年の秋、アキアカネが産卵しているところがあると言う事実です。
アキアカネにとって来春田んぼに水が入らないとの予測は出来ません。結果、無駄な産卵になっているのです。

a0122264_15294200.jpg
▲ 手前だけが田植えの準備中で、奥は全て小麦が栽培されていました。 (2015.5.5 畝部地区)
a0122264_15342360.jpg
▲ 昨秋、アキアカネやコノシメトンボが産卵していた田んぼでしたが、水が入っていません。 (2015.5.8 西田地区)
アキアカネの卵が孵化してヤゴになり、無事羽化してトンボになるには、4月中頃には田んぼに水が入り、
羽化が終わる6月下旬頃までは、田んぼに水が入っていることが重要なのですが…。
ちなみに、アキアカネの卵は乾燥に強いため、冬場、田んぼに水がなくとも問題はありません。

カエルの場合、種により、産卵の時期は異なりますが、昔から田んぼと共に生きて来たアマガエルやトノサマガエルなどは
ほぼ、アキアカネと同じ期間に田んぼに水があることが、世代交代をして行くための必要条件になります。

農業の効率化からすれば、一面、小麦なら小麦を栽培するのが理に適っているのかも知れませんが、モザイク状にするなど、隣合う田んぼではコメ以外は作らないなどの仕組みの開発が待たれます。
なお、カエルの場合、圃場整備後の田んぼでは、農道を通り抜ける車などによる交通事故死も無視できません。

追記
6月4日の畝部地区の写真を追加します。
この時期に、昨年田んぼだった所に水が入ってないのですから、アキアカネなどアカネ属のヤゴにも、アマガエルやトノサマガエル(地域によってはダルマガエル)、ヌマガエルなどのカエルたちは、産卵して世代交代が出来ませんから、この付近から絶えて行くしかありません。
農業関係者も含めた、なつかしい生きものたちを絶やさないコメ作りへの知恵と実践が待たれます。
a0122264_18315618.jpg






by tombo-crazy | 2015-05-13 22:00 | トンボの棲む環境 | Comments(0)