■2012年4月29日
恒例のベッコウトンボ個体数調査と全国トンボサミット参加のため、 カエルの分校の人たちと、静岡県磐田市の桶ヶ谷沼へ行って来ました。 ↑ 南東側から桶ヶ谷沼の北西側を見たところです。 ↑ ベッコウトンボ個体数調査のために集まった人と観察の人たちです。 ↑ これまでの21年間の個体数の推移と、調査地点の航空写真です。 ↑ F地点の木枠の中にいたベッコウトンボです。 ヨツボシトンボもいました。 木枠と言う限られたスペース内のためか、オス同士のバトルが頻繁に行われていました。 ↑ 木枠ゾーンでの一般参加者の方を案内しての観察と、個体数調査風景です。 ↑ ベッコウトンボの個体数調査風景です。 (調査地はF地点内の木枠のあるゾーンの南隣です。) ↑ F地点内の木枠ゾーンです。 地元の有志の方々が、ベッコウトンボ復活のために、かつて田んぼだったエリアの中に水路や掘り下げにより水辺を再生し、一部を木枠とネットで囲ってアメリカザリガニの進入を防ぎ、維持管理しているところです。なお、ここ数年、F地点でのベッコウトンボの発生は非常に高いものとなっていて、沼本体での分散発生が期待されています。 ただし、このエリアは、通常、一般の方の立入りは出来ません。 なお、今日の調査結果については、5月3日の結果を見てから、桶ヶ谷沼ビジターセンターから公式発表されます。 例年参加させていただいている私たちの印象では、 総数は昨年並みですが、集合場所の台地が昔ほどではありませんが、増えてきていることと、実験池が極端に少なくなっているように感じました。 これらは、発生数が減ったと言うよりも、例年より羽化が早かったため、摂食のため草地へ移動していた可能性があります。 ■観察されたほかのトンボ ホソミイトトンボ、クロイトトンボ、ヨツボシトンボ、ハラビロトンボが少数ですがいました。 カエル谷と比べ、シオヤトンボがいないこと、種と総数が少ないことは意外でした。 午後からは、実験池と、鶴ヶ池を見ました。 実験池は、例年数10頭は確認できるエリアなのですが、 時期的なものが影響したのか、私たちが行った昼からの時間帯ではベッコウトンボの姿を見ることはできませんでした。 鶴ヶ池については、昨年より少なかったものの、池の南端から東の道路沿いに展望デッキのある所まで歩いた約110mほどの範囲だけでしたが20頭ほど確認することが出来ました。 ↑ 鶴ヶ池のベッコウトンボたちです。 なお、例年たくさんのベッコウトンボが摂食したり休んでいる鶴ヶ池の南端に隣接する公園は、草が刈られて間もなかったことが影響したようで、ベッコウトンボの姿はありませんでしたが、山裾の草が刈られてないところでは数頭のベッコウトンボを確認することが出来ました。 人によっては一見役にたちそうもないような草原も、トンボたちにとっては貴重なエリアになっていることを改めて確認出来ました。 ↑ 鶴ヶ池です。 ■素朴な疑問と提案 桶ヶ谷沼は、人手をかけることで、かろうじてベッコウトンボを絶滅の危機から防いでいるのですが、通常のため池管理ぐらいしかしてないと思われる鶴ヶ池には、なぜ、ベッコウトンボが毎年発生しているのでしょうか? ザリガニやブラックバスがいて、釣り人も入っている池なのですが不思議です。 今後のベッコウトンボを考えるとき、桶ヶ谷沼と鶴ヶ池の違いの解明が鍵になるように思うのですが。 桶ヶ谷沼のベッコウトンボ減少の最大の原因は、かつて行われた沼周辺の開発により、水質や水量等に劇的な変化が起きてしまったとする方々がおられますが、同感です。 次の要因として、ザリガニによる捕食圧の影響大とし、継続的対策に苦労されておられますが、喰うか喰われるかの自然界を考えれば、ザリガニにの異常発生により、一時的なベッコウトンボの減少があったとしても、数年であるレベルまでは回復すると思われ、壊滅的な減少につながることは、人為的なものを除いては稀なことと思われます。 例えば、沼本体に大量に溜まっているヘドロなどにも目を向け、視点を広げて要因解析することも、ベッコウトンボの自立のためには必要に思います。 それと、次のようなことについても、調査が出来たらと思います。 ①鶴ヶ池の継続的なベッコウトンボの個体数調査 ②桶ヶ谷沼の北側(F地区)と南側(C地区など)との水質などの比較調査 ③F地区内の木枠内と木枠外のベッコウトンボ発生数調査 …植生調査のように、ロープなどで調査枠を規定し、その範囲で確認された羽化殻を発生数とする。 ③については、ここ数年の調査会で、木枠外で産卵するベッコウトンボを数個体確認しているため、もしかしたら、ザリガニ対策をしてない所でもベッコウトンボの発生が考えられるからです。 もしも、発生が確認できれば、かつての田んぼだった所を水辺として再生した中に、 沼本体では損なわれ無くなってしまったベッコウトンボの生息に必要な重要な因子が含まれると予測されるからです。 以上のように、私自身、考える背景には、大分の野依新池など、私が現地へ行った九州のベッコウトンボ生息地にはザリガニが生息していたからです。
by tombo-crazy
| 2012-04-29 22:16
| トンボ見て歩記
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