ふるさとのトンボ

2018年9月3日 曇り時々雨 気温24℃(7:10)

 法事のため、新幹線を乗り継ぎ、久々に帰省しました。
一泊だけでしたので、ゆっくり観察とは行きませんでしたが、
朝食前の時間を使い、子どもの頃に遊んだ池へ行ってみました。

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↑ 温泉宿から10分ほど歩き、振り返ったところです。

朝日が城山の影から昇り始めていました。
霧が掛っていて良かったです。
小学校は城山の登り口にありました。






 その① 四角池  (正式名は不明ですが、子どもたちはそう呼んでました。)

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↑ 水質の変化なのか、今年の暑さのためなのか判りませんが、
ウキクサで開放水面が消えていた四角池。
家からは、バスが通る坂道を25分ほど歩くと着ける所でした。

(参考) 
当時のバスは、車掌さんのいるボンネットバスでした。
時代が変わり、車社会となった今は、バスは走っていません。
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↑ 四角池近くの貝山集落です。
左手には、かつて分校がありました。
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↑ 子供の頃に見た蔵と物置ですが、どちらも2011年の震災のためか、傾いていました。



 すぐ傍を磐越自動車道が通るなど、すっかり景色が変わっていましたが、
子どもの頃の記憶を頼りに、辿りつけました。
宿からは15分ほどで着きました。

 当時の池は、町の新聞店の管理で、フナやコイがたくさんいたのですが、
小学生だった私たちは、捕獲禁止の看板を横目に、内緒で釣っていました。
たまに、おじいさんが見周りに来ることがあったのですが、
田んぼの中だったので見通しが良く、早くおじいさんに気づき、逃げたものです。
それに、子どもの足のほうが早かったので、背中にどなり声だけを聞いただけでした。
 普通の子とは思ってましたが、けっして良い子ではなかったですね。

 池の周囲の小川には、小ブナやドジョウなどがたくさんいて、「ざっこ」と言ってた網で、小魚などを捕って遊びました。

  注) 「ざっこ」は雑魚を捕る網の意と思われます。
    全国的には、「押し網」とか「さで網」と言われているようです。
    当時の釣り具店では「ざっこ」と書かれていました。

 当時は、ざっこの中に入ったゲンゴロウやヤゴは戻し、フナなどは持ち帰りましたが、
タガメが入ると、足で踏みつけ、捨てていました。
なぜかと言うと、フナやドジョウやカエルを殺すことを知っていたからです。
当時は、タガメが絶滅危惧種になってしまうなどとは、夢にも思いませんでした。
と言うか、絶滅危惧種なんて言葉も聞いたことがありませんでした。
無理もありません。農薬もほとんど使われず、圃場整備もされてなかった60数年前のお話です。

 「ざっこ」の使い方は、小川の中に入って、網で獲物を追うのではなく、
網を岸辺の草むらの根もと付近に固定し、底辺部は川底に付けた状態で、
下流側から、足を使って、網の中に獲物を追い込むやり方でした。
草の根もとに隠れていた、魚や水生昆虫たちが、面白いように捕れました。


 かっての小川も消え、暗渠と、コンクリートの三面張りになっていましたから、
今も、タガメがいるかは?でしたが、
水はきれいで、小魚やオニヤンマがいました。

 この池では、苦い思い出もあります。

 冬のことです。
 いつもの遊び仲間と、雪道をのろのろ走るトラックの後にロープを結びつけさせてもらい、
坂道を上がり、帰りは、手づくりのスキーで滑って来る遊びをしていた時、
池に氷が張っているはずだから、滑りに行こうと四角池まで行きました。
雪で、真っ白になった景色の中に、凍りついた四角池がありました。
 スケートは、ありませんが、すり減った長靴で滑らして遊ぶのです。
スキーとは別の感触があるので、楽しく遊んでいたのですが、
池の真ん中あたりへ行ってたミーちゃんが、バリバリと言う氷の割れる音と共に、
池の中へ落ちてしまったのです。
 小さな池でしたが、真ん中辺は深さがありましたから、
暫くもがいていたミーちゃんが、氷の下に入ってしまい、見えなくなって、さすがにびっくりでした。

 田んぼの周囲にあった、はざ掛け用の竹ざおを持って来て、消えた辺りに突っ込み、
運よくミーちゃんが、竹ざおを掴んでくれたので、4人で力を合わせ、
無事助けだすことが出来たのですが、真冬にずぶ濡れになってしまい、
みんなでミーちゃんを家まで送り、お母さんに、池に落ちて濡れたことを話し、謝ると、
「助けてくれて、ありがとね。…」と、
お礼に飴玉を頂いたまでは良かったのですが、
翌日、学校で、先生からしっかり叱られました。
ミーちゃんが死なないで、本当に良かったです。
もしも、死んでいたら、とても四角池へは行けません。
当然ですよね。
 いろいろあった思い出の四角池です。






  その② 大池

 四角池より、バス道を更に奥へ向かい、左手の谷間へ入った大池です。
家からは、40分位でした。
 すり鉢池とも言われていて、時々、犠牲者が出ていたので、「大池は気をつけろ!」と言われていましたが、
釣り禁止でなかったことや、水がきれいだったこと、景色が良かったこと、
それに、フナがたくさんいて、イモリやゲンゴロウもいたので、お気に入りの池でした。
だから、一人でも、たびたび行ってました。

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↑ 右手上の堤がある所が大池です。
左手を歩いて大池を目指しました。
道筋には、数種類の赤とんぼがいました。
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↑ 左手上に、大池の堤が見えます。
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↑ 石をくり抜いて造られていた水位調整用の縦樋です。
大池は江戸時代に造られたとのことでした。
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↑ なつかしの大池です。
ただ、ウキクサで水面は見えませんでした。
子どもの頃は、こんなことはなかったのですが…。
周囲の林はキノコの宝庫でした。

周囲では、草花や、秋の木の実、トンボなどが観れて、うれしかったです。

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↑ ノシメトンボです。
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↑ マイコアカネもいました。
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↑ マユタテアカネです。

今回は、法事のための帰省でしたから、一眼レフは持って行かず、
全てコンデジのオートフォーカスで撮りました。
トンボにピントが中々合ってくれず、困りました。

イネの上には、真っ赤になったアキアカネやナツアカネ、マイコアカネなども止っていたのですが、
撮ることが出来ませんでした。
トンボの撮影はマニュアルモードですね。


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↑ ツリガネニンジン(キキョウ科)です。
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↑ ツルボ(キジカクシ科)の花とアマガエルです。
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↑ ノコンギク(キク科)です。
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↑ ワレモコウ(バラ科)です。
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↑ キキョウ(キキョウ科)です。
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↑ 花は終わっていましたが、オカトラノオ(サクラソウ科)の群生です。
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↑ 1輪だけ花が咲いてたウツボグサ(シソ科)です。
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↑ ノブドウ(ブドウ科)の実です。
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↑ 色づき始めていたガマズミ(スイカズラ科)です。
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↑ シバグリ(ブナ科)です。
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↑ ヤマボウシ(ミズキ科)の実です。
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↑ ヤマナシ(バラ科)の実が落ちていました。
子どもの頃は、かじって味わいました。
長十郎の芯のような味がしましたが、美味しく感じました。


5時少し前から、朝露の中を歩いたため、靴やズボンの裾が濡れましたが、
久々のふるさとの自然に触れることが出来、うれしかったです。






朝食後

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↑ 兄の家の庭先にいたノシメトンボです。

オニヤンマもちらっと見ました。







通学路の川 (桜川)

かつての我が家から小学校へ行く道筋には、桜川と言う小さな川があります。
名前も良く、ちょっとした小滝などもあり、川沿いの古い街並みと共に、
学校の往き帰りに楽しめた川でしたが、
町中を流れていることもあり、生活排水が流れ込み、
そんなにきれいな川ではありませんでした。
その上、一部の心ない大人(本人はそう感じてなかったと思いますが。)が、
大雨で、川が増水すると、ゴミなどを平気で流すのでした。

「水に流す」という言葉は、こんな日本人の風習から来ているのかと、
小学校の高学年になった私は、さみしく感じたものでした。

ところが、以前と比べ、とてもきれいになっていました。
それで、お寺へ真っ直ぐ行かず、寄り道したら、うれしいことが、ありました。
町の人たちが、行政による洪水対策のための桜川の改修に合わせ、
浄化に取んでいるとのことで、
水がきれいになり、川魚やハグロトンボなどを観ることが出来たことです。

今回の帰省で、一番うれしかったことです。

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↑ 桜川と界隈です。

左手奥の大神宮のある山の下に、我が家がありました。
今は、長男の家が建っています。
小学校へは、川の右岸を歩いて行くのですが、
時々、山越えなどをして道草をして帰りました。

女性で初めてエベレストに登った淳子さんの家は、上の写真の辺りにあり、
活版印刷屋さんで、ガッチャンガチャガチャの音がしてました。
お父さんは、サイドカー付きのハーレーに乗っていて、
ゴーグルを着けて走る姿はかっこよく、乗せてもらったことがあります。
淳子さんはお父さんの血を引いたと思われます。
印刷屋さんの眼の前には、不動山があり、僕らの遊び場でした。
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↑ 不動山の登り口です。

山の下の川べりには、「三道館」と呼んでいた武道場があり、
学校帰りには、恰幅の良いおじいさんたちが羽織袴で弓を射るのを観てました。
僕も剣道や柔道、弓道を楽しみました。





お寺 ( 臨済宗妙心寺派 恵日山 福聚寺 )

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法事は11時からでした。
一連の法要が済み、庫裡での精進料理の会食までの間に、
お寺の池を見せて頂きました。

お寺は、3年ほど前から大改修中で、池のある裏庭も立ち入り禁止になっていたのですが、
特別に、ご案内頂きました。

拝見したかった理由は二つです。
一つは、ため池の研究者としての立場と、
8月の中日新聞に載っていた住職でもある玄侑宗久さんの連載エッセー「うゐの奥山」第74回に、
「池さらい」で、この池が載っていたので、興味があったのです。

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↑ お寺の池です。

エッセイに書いてあったように、ヘドロが取り除かれ、とてもきれいになっていて、
マユタテアカネなどが止っていました。
お庫裡さんのお話では、コシアキトンボもいるようですが、
雨が降っていたためか、姿がありませんでした。


周囲は山で、水草などもありますから、トンボにとっては中々の生態系です。
お庫裡さんは、ホタルを復活させたいと考えられてました。
池の周りの環境と、池には貝(タニシにカワニナ)がいますから、
ヘイケボタルなら可能性があります。

ただ、将来的に危惧するのは、コイが放流されることです。
コイは大食漢の上、悪喰で、特に貝が好物ですから、
ヤゴは勿論、ホタルのエサとなる貝も食べてしまいます。
その上、泥と一緒に吸い込みながら食べますから、
たくさん食べた分、排出し、水は濁り、ヘドロが溜まります。

お庫裡さんは、コイは入れたくないので、説得してと言ってられましたが、
宗久さんの顔には、コイもいいのでは…との意が汲み取れました。

お二人で、時間をかけてお決めください。

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↑ 山門横に止まっていたノシメトンボです。
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↑ お寺さんへの道沿いにあった手押しポンプの井戸です。
震災の時は、大活躍したようですが、放射能のことがあったので、
飲むことは出来なかったようです。








ちなみに、福聚寺の敷地内には、たくさんのしだれ桜があり、
桜のお寺としても、いいところです。
見ごろは4月半ばから20日頃でしょうか。



数年後、また、寄らせて頂きますね。






















by tombo-crazy | 2018-09-04 20:51 | つれづれ感じるままに
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