■生きものにとって大切なこと
トンボに限らず、人間に頼らない野生の生きものたちにとり、世代交代を繰り返しながら生きて行くには、 次の三つのことが、かなえられることが大切なように思います。 ①餌が確保できること。 ②休み、寝るところがあること。 ③自分の子孫を残すこと。 分かりやすく言えば、「喰う・寝る・残す」 と言うことが大切なように思います。 そして、これらのうちの一つの要素が損なわれても、野生の生きものたちは、その地から消えて行きます。 このことは同じ生きものである人間にも当てはまるのですが、 人間には知恵があり、考えることが出来て、先人の足跡の上に積み上げが出来、進歩出来る生きもので、 他の野生の生きものとは別格との考え方と言うか、思い込みがあり、自然界をコントロールしようとして来ました。 また、一方では、野生の生きもののようなシンプルな生き方はしないと、多様な価値観を大切にした(振り回された) 生き方をするヒトが増えているようにも思います。 このことは、ヒトである人間にとってプラスにだけ作用することはないのではないかと思います。 ■生きものの生存を脅かす私たち 人間の生活を第一と考える私たちは、古来より、結果として生きものたちの生存を脅かして来ています。 いや、私は、地球に優しく、エコに心がけ、自然愛護に努めていますと、おっしゃる方もいるかも知れません。 でも、本当でしょうか? 実際のところは、自分中心の、いいとこ取りをしている方がほとんどのはずです。 例えば、自然に関心があり、優しいと自負されている自然観察会に来られる方々の大半は、その地で見られなくなったら、 貴重なもの、珍しいもの、可愛いものなどを求めて、よそへ行くだけの方です。 つまり、いいとこ取りの人たちです。 その上、自分たちが自然界にどれだけのストレスを与えているのかを認識してない場合がほとんどです。 確かに自然への関心を持つ人は年々増えているように思います。 メディアの報道を見ていても、絶滅危惧種や、ホタルやメダカなど、特定の生きものへの関心が高くなっていることが伺え、 中には養殖・放流など、いかがかな?と思われることも行われています。 ただ、自然への関心が高まっているからと言って自然が良い状態にあるとは言えません。 現実には、自然界は年々蝕まれ、身近ななつかしい生きものたちが私たちの周囲から消えています。 そんな実態を見て来た私たちは、観察会は害はあっても、利はほとんどないことに気づき、 観察会などに費やした時間や人手を、増えている耕作放棄された山の田んぼを、 消えていくなつかしい生きものたちのために活かすことを決断しました。 幸い、私たちの世代は、日本の自然が良かった頃に生まれ、育ち、里山の維持管理も知っています。 元気なうちに、なつかしい生きものたちのために、やれるだけのことをして、次の世代にバトンタッチしたいと考えます。 ■なつかしい生きものの生息空間 「カエル谷」 ほか ↑ 雪のカエル谷です。 (2005年12月19日) ↑ 旧東加茂郡松平町(現:豊田市)にあるカエル谷です。三つの沢が流れ込む、すり鉢状の地形です。 (2011年4月) かつては田んぼでしたが、高齢化で耕作を止めていた所を周囲の山ごとお借りして、 なつかしい生きものたちの代表とも言えるカエルたちが安心して世代交代出来る生息地として、 『カエルの分校』の仲間たちと水辺として再生しました。 今年で10年目を迎えます。(2011年5月現在) 気づいててみると、自然に学びながら、多様な環境にしたのが良かったのか、トンボは60種ほど確認するまでになりました。 無論、全てが定着している訳ではありません。一時的に飛来し、様子見のトンボも20種ほどいます。 もう少し広さがあったらとも考えますが、そんなことよりも、カエル谷のような所を全国各地に広めたいと願っています。 そうすることで、いろんななつかしい生きものたちが各小学校区から消えるのを少しでも防ぐことが出来るのではと思っています。 どう再生し整備するかは、野生の生きものの行動から学ぶようにしています。 つまり、「喰う・寝る・残す」 環境を確保することが大切と感じています。 ↑ 仕事に行く前の時間を使い、一人で始めた「百畝」です。 矢作川とその支流の合流点に近かったためか、野鳥を始め、トンボやカエルなど生きものは意外と多かったです。 何といっても眺望が良かったです。 都合で地主さんへお返ししました。(2002年3月2日) 休憩兼道具小屋?の前にあるのは、使っていた道具です。 新品の刈払い機は、手にマメやタコをつくる私を見かねて、女房殿が買ってくれたものです。 ただ、女房殿は、どの生息地にも一度として足を運んだことはありません。それぞれの道を行くなのです。 ↑ 旧東加茂郡足助町にあるなつかしいいきものの生息空間・「椿立」の整備です。 ペアレントさんが中心になって進められました。 近くにある「あすけ里山ユースホステル」利用者の癒しの場にもなっています。(2004年2月23日 椿立) ↑ 女性の方々も、生きものや、時代を担う子供たちのためにと、がんばって下さっています。 (2004年11月27日 風の谷) ↑ トンボの姿が見えなくなる12月の半ばから、カエルの産卵が始まる1月末までが、 掘下げや畦造りなどの水辺づくりの季節です。 ただ、冬場の水辺づくり以外にも、イノシシが荒らした畦の補修や、大雨の被害対策と痛んだ箇所の補修や土砂の浚渫、そして草刈りや竹の伐採、子どもたちの受け入れなど、年間を通してやるべき仕事は一杯あります。 (2005年1月21日 カエル谷)↑ 旧西加茂郡猿投町からは、中学生が約12Kmの道を自転車で駆けつけてくれました。 (2005年2月13日 カエル谷) 彼らも今は立派な大人になっていることでしょう。 ↑ 子どもたちもトンボ池づくりのお手伝いをしました。秋にはネキトンボがたくさんやって来ました。 (2009年2月22日) ↑ 土砂が入り込んだ水辺の再整備です。全てが手作業ですので、いい汗をかきます。 (2010年4月13日 カエル谷) ↑ 休みの日に、子どもたちに解放している「なつかしい生きものたちの生息空間」です。 なつかしい生きものたちの減少に歯止めを掛け、生きものを増やし、私たちが子どもの頃に体験して来たように、せめて子どもたちには、生きものを捕まえたり、草花を摘んだり出来る、そんな自然を回復させたいと願っています。 それは、自然を悪化させ、傍観して来た私たち大人の責任でもあると思います。 そして、夏休みの定番であった子どもたちの昆虫採集や、植物採集、押し花作りなども復活出来たらと願います。 そうすることで、小中学校の中にも、学区内の自然を診ることの出来る先生が復活すると思います。 子どもは、見るだけでなく、実際に触れて、五感に感じてこそ、興味や関心が高まり、科学する心が養われると思います。 一緒にやってくださる方を求めています。 あるいは、ご自身の家の近くで、耕作放棄された山の田んぼなどを、生きものたちの水辺として活用いただければうれしいです。 私たちは、持込や、養殖しての放流はしていません。元々その地にあった自然を大切にしています。 それでも、トンボの場合、翅がありますので、多様な自然環境を再生・維持することで戻って来ます。夢がある仕事です。 現役を退かれた男性の方であれば、生きがいにもなりますし、何といっても、奥さんの足手まといになりません。 弁当を持たせて送り出した後の奥さんは、これまで通り、自分のリズムを維持出来ますので、お互いに幸せです。 ■トンボの楽園づくりの連絡先 連絡先メールアドレス : ワイエムエヌ1415■nifty.com 『カエルの分校』やまね 迷惑メール対策のためアドレスの表示を替えています。 恐れ入りますが、ワイエムエヌはアルファベットに、■は@マークに変換の上、メールいただければ幸いです。
by tombo-crazy
| 2011-05-25 13:58
| トンボの楽園づくり
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